ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥っている。
世界の石油供給の約2割、日本の原油輸入の約9割が通過する大動脈の混乱は、日本のエネルギー安全保障に重大な影響を及ぼしかねない。
こうした絶望的な状況下において、注目を集めたのが、ロシア産の原油調達だ。
中東から輸入してきた原油は、他国産では賄えない
現在、中東産油諸国は、一枚岩ではなくなっている。
アラブ首長国連邦(UAE)の石油輸出国機構(OPEC)脱退論争などに見られるように、産油国間の足並みの乱れや地政学的な利害対立が表面化しており、原油価格のさらなる上昇リスクが高まっている。
では、同盟国であるアメリカ産や、メキシコ産の原油に切り替えられるかといえば、ここにも大きな壁が立ちはだかる。
日本の製油所の大半は、硫黄分が多く比重の重い「中東産原油(中質・重質油)」を効率よく精製できるように設計されている。アメリカのシェールオイルに代表される軽質油は、日本の既存設備では不適合を起こしやすい。
加えて、メキシコ産などは日本の国内需要を賄うには絶対量が決定的に不足しており、太平洋を横断する長距離輸送のコストも無視できない。
つまり現状で、アメリカ産やメキシコ産は中東産を完全に代替する力は持っていないのである。
では、中東からの原油を運ぶために、迂回ルートを確保するという道はどうか。
現在、最も現実的なルートとなる紅海およびスエズ運河経由の航路では、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による船舶攻撃が常態化しており、安全保障上の懸念から主要な海運会社が敬遠しているのが実情だ。
となると、アフリカ大陸の喜望峰を回るルートを選択せざるを得ないが、これには多大な代償が伴う。
輸送日数が数週間単位で延びるだけでなく、燃料費や保険料の高騰により輸送コストが莫大に膨れ上がる。
いずれにせよ、エネルギー価格への転嫁は避けられず、円安でただでさえ苦しむ日本経済と国民生活に、さらなる物価高という追い打ちをかけることになる。