SNSアプリ「BeReal(ビーリアル)」を経由して、企業の内部情報が漏洩する事態が相次いでいる。毎日異なる時間に通知が来て2分以内に投稿するという、アプリ独自の仕様が原因とする分析もあるが、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「それは要因の一部に過ぎない」との考えを示す。こうした問題が起き背景を詳しく聞いた。
銀行や飲食店などで情報漏洩、謝罪する事態に
2026年4月下旬、西日本シティ銀行(本店・福岡市)の職員が支店の執務室内で撮影した画像・動画がSNS上で拡散。これらはBeRealに投稿されたと報じられている。同行は4月30日、顧客7人の氏名が映っていたとして公式サイトで謝罪した。
仙台市の小学校でも同様の事案が発生した。1人の教員が4月20日、仕事で使うシステムを表示したノートパソコンを写した画像を投稿し、そのスクリーンショットがSNS上で拡散した。市は翌21日、「深くおわび申し上げます」と公式サイトで謝罪している。
ミスタードーナツも5月1日、内部情報が写りこんでいる画像がSNS上で拡散していることについて、フランチャイズ加盟店舗のスタッフが撮影したものだとJ-CASTニュースの取材に説明。また、ピザーラも2日、従業員によるSNSの不適切投稿について公式サイト上で謝罪した。
仙台市の事案はBeRealで投稿されたものだと報じられており、ミスタードーナツとピザーラの件も同アプリで撮影されたとみられている。また、インスタグラムのストーリーズを介して、企業の情報が漏洩した事案も発生していた。
そもそもBeRealというアプリは、1日1回ランダムな時間に通知が来て2分以内に投稿する仕組みだ。画像を加工したりせず、「リアル」な日常を共有できることが特徴で、若者世代を中心に流行っている。
BeRealを介して情報漏洩する背景は
BeRealを介して情報漏洩する一連の問題の背景は何か。
前出の井上氏は6日の取材に対し、アプリ独自の仕様が漏洩を引き起こしているとする分析について、「それは要因の一部に過ぎない」と指摘する。
BeRealでの漏洩が目立つことについて、井上氏は「偶然、その世代の身内の間で流行っているからだ」と説明。むしろ、SNSでのやり取りが当たり前となっている若者世代が「脊髄反射」で投稿してしまうことを問題視した。
「若者世代も情報漏洩に関する学習をしています。『SNSで情報が漏洩する』『写真に写る風景で場所が推測される』などを知っている。しかし、友達とやり取りすることのほうが優先順位が高く、脊髄反射で動いてしまう」
この「友達」の範囲も、信頼関係が結ばれている人だけではなく、SNS上やゲーム上だけでつながっている人たちも含まれている。かつても、信頼関係を結んでいる人に企業情報を対面で共有するケースはあったが、今では、知り合い程度の関係性の人に対しても送ってしまう、と説明する。
「BeRealで投稿する際、情報が漏洩するリスクなどを想像できず、行動を止める関所のようなものがない。今回の一連の事案においても、情報管理に関する知識はあるものの、脊髄反射で投稿してしまっていると思います」
仕事上の反応よりも友達関係を優先する若者は少なくない、と井上氏。こうした状況において、企業側はどのように対策するべきなのか。井上氏は、詳細な明文化とルールの周知を逐一行うしかないと語る。
「『BeRealから通知が来ても、社内にいるときは投稿してはいけません』『XやLINEも同様です』などと、全てのアプリ名を明記しなければならない。そうでなければ、『このアプリの名前が入っていなかったから使ってもいいと思いました』と言われかねません」