ナフサ供給不安、政府説明「相談を受けていない」に疑問続出 白黒包装は「企業側の判断」?

   イラン情勢の悪化に伴うナフサの供給不安が、日本の企業や地方自治体にまで深刻な影響を及ぼしている。だが、高市早苗政権は一貫して「必要量は確保されている」との主張を続けおり、それを正当化しようとする閣僚らの発言にも疑問が相次ぐ事態となった。

  • 鈴木憲和農水相。答弁が波紋を広げている(写真:つのだよしお/アフロ)
    鈴木憲和農水相。答弁が波紋を広げている(写真:つのだよしお/アフロ)
  • 影響はポテトチップスのパッケージにも及んでいる(写真はイメージ)
    影響はポテトチップスのパッケージにも及んでいる(写真はイメージ)
  • 鈴木憲和農水相。答弁が波紋を広げている(写真:つのだよしお/アフロ)
  • 影響はポテトチップスのパッケージにも及んでいる(写真はイメージ)

大臣発言3日前のヒアリングでは「今後の調達に不安がある」

   ナフサ供給不安で衝撃を持って受け止められたのが、カルビーの発表だった。ナフサを原料とするカラーインクの不足により、主力商品「ポテトチップス」などの包装を白黒に変更することが決まったのだ。こうした中、2025年は「おこめ券」で世間を騒がせた鈴木憲和農水相が、26年5月15日の記者会見で発した言葉が波紋を広げている。

   カルビーなど民間企業が包装デザインの簡素化を進めている現状について、鈴木農水相は「現時点で現行のパッケージのままでも問題はない」とし、デザインの簡素化の動きは「企業の予防的な判断」と説明した。さらに、各企業から政府に対して「事前に困っていると相談を受けていたわけではない」と語った。

   しかし、この会見の3日前となる5月12日、農水省の担当者がカルビーに対して実態把握のためのヒアリングを行っていた。カルビー側からの要望を受け、ナフサ由来のインクの原料について「今後の調達に不安がある」と伝えられたと、TBSなど大手メディアが報じている。

   鈴木農水相が公式の場で「相談はなかった」と語った一方で、省内では数日前から直接その窮状を聞き取っていたという食い違いに、SNSでは厳しい視線が注がれている。「相談待ち、やばすぎるなぁ。なぜ現場に行かないのか」などの声が相次ぐ。

家庭用ごみ袋の印字も黒色に

   政府側が「ナフサの量は足りている」と主張し続ける背景には、高市早苗首相が4月5日に自身のSNSで発した内容がある。ナフサについて「少なくとも国内需要4ヶ月分を確保しています」とし、供給が「このままでは6月に詰む」とした「報道特集」(TBS)の内容を念頭に「事実誤認であり、そのようなことはありません」と断じていた。

   だが、5月に入りカルビーやカゴメ、日清製粉ウェルナなど食品大手が包装の簡素化を相次いで発表。影響は食品メーカーに限らず、これまでもTOTOや積水化学、カネカなどで値上げや受注停止などの対応に追われる動きが見られた。中小企業にはさらに大きなダメージが懸念される。

   また、市民生活に直結する行政サービスにも影響が出ている。家庭用ごみ袋の印字を黒色に変更することを決めた自治体がある他、一部地域では供給不安による品薄も発生。コープデリでは、宅配や店舗で数量制限や欠品対応を行う可能性があるという。

自民議員、不足を訴える企業には「詰めにいってますから」

   これらの状況について、高市首相は5月12日の関係閣僚会議で「流通の目詰まり」が起きていると主張。個別の業界に問題は生じていても、国内全体で見ればナフサの供給量は足りているとの姿勢を崩さない。

   政治学者の山口二郎氏は自身のSNSで「目詰まりを起こしているのは、政府の情報収集部署の方。都合の悪いことには目をつぶり、都合の良いことだけを存在することにする。大日本帝国の伝統は脈々と引き継がれる」と批判。2ちゃんねる創設者の西村博之氏も「ナフサ由来の製品が値上げしたり、受注停止したり、工事が止まったりしてるのに、高市政権の『ナフサは潤沢』というデマのせいで状況は悪化してる様子」と切り捨てた。

   こうした混乱の中、自民党の田村憲久衆院議員が5月17日にTBS番組「サンデー・ジャポン」に出演した際の発言が火に油を注ぐ形となった。番組内でナフサの供給量を問われた田村議員は「足りてますね。実際、きのうも確認しましたけれども」と明言。あくまで原因は流通過程にあるとし、その上で「今、役所が『全部ない』って連絡もらったら、詰めにいってますから」と語った。

   この「詰めにいく」という表現に対し、SNSでは不快感を示す声も。「これ、どういう意味?足りないと言うと、お役所に尋問されるってことですか?」といった批判が目立つ。ナフサ供給で続く混乱を「流通過程の目詰まり」「企業の判断」と片付ける政府と、対応に追われる企業の実態との乖離が見られる中、長引くイラン情勢の混乱が不安を加速させている。

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