埼玉県川越市内でイスラム教の礼拝所「モスク」が建築され、市が都市計画法違反として撤去を求めているが、モスクの土地所有者側が撤去に同意した直後に、駐日パキスタン大使を招いた開所式が同所で行われていたことが分かった。
大使側はX投稿で、「許認可を受けたと聞いて出席したが、日本の法律に従う必要がある」といった内容の釈明を行った。川越市の担当課は、「建物を使って集会するのはNGです。現在は推移を見守っていますが、早く撤去してほしいと思っています」と取材に話している。
土地所有者側は、「お金がかかる」と撤去を渋っている?
立派な黒い門を潜って、モスクに着くと、金色の大きな扉がそびえている。信者らがそこから出入りしており、礼拝堂で神に祈りを捧げる外国人ら多数の姿があった。
モスク内を撮影したとみられるこうした動画は、いくつかネット上で出回っている。
モスクの違法建築問題は、産経新聞の2026年5月30日付ウェブ版記事などで報じられた。それらの記事や川越市の開発指導課がJ-CASTニュースの取材に答えたところなどによると、このモスクは、24年10月に住民から通報があって、市街化調整区域に無許可の状態でほぼ完成していることを市がつかんだ。
当時土地を所有していた埼玉県富士見市内の不動産会社に市が事情を聞くと、「土地はすでに売った」と説明された。ただ、売り先がはっきりしなかったため、建築主に対して工事中止を求める貼り紙を建物に掲示した。しかし、現場の外国人らは日本語が分からないなどと説明し、工事を中止しなかった。
土地の登記によると、25年3月にモスクに住所がある会社が所有者になり、市が撤去を求めたところ、この会社は26年3月、5年以内に撤去するとした是正計画書を市に提出した。ところが、4月3日には、パキスタン大使も出席してモスクの開所式が行われてしまった。この会社では、モスクは元から建っており、撤去にも「お金がかかる」と渋ったと報じられており、今後の見通しは不透明なままだ。
こうした状況が報じられると、ネット上では、モスク側に対して、疑問や批判の声が次々に書き込まれた。
パキスタン大使館の公式Xにも、こうした声が寄せられたのか、5月31日になって、大使館から声明が出された。
パキスタン大使館は、日本の法律を守るよう呼びかけ
開所式への大使出席について、「この建物は日本の法律で定められた全ての許認可取得済と説明を受けた上で招待を受諾しました」と日本語の投稿で釈明し、次のように述べた。
「このようなプロジェクトの法律遵守に関する情報は、在日パキスタン人および近隣住民すべてに透明性をもって共有されるべきです。また計画段階及び事後においても、日本の法律と規則はあらゆる場合において遵守されなければなりません。駐日パキスタン大使館は、全ての在日パキスタン人に対し、あらゆる状況、特に上記のような件において、日本の法律遵守に関して日本の役所に速やかに協力するよう求めます」
ネット上では、パキスタン人にも呼びかけるべきだとの意見も続出した。大使館は、6月1日になってウルドゥー語でも同じ呼びかけを行った。
モスクのある土地には、他に事務所や物置などがあり、計4棟が建っている。周囲は、高いフェンスに覆われており、人の動きなどは見えなくなっている。
この状況について、川越市の開発指導課では、次のように取材に話した。
「土地への出入りは制限していませんが、建物を集会などに使うことはできません。しかし、フェンスがあって外目には分からず、道路から見て一番奥にあるモスクは見づらくなっています。早く撤去してほしいと思っており、今後の指導方法については、検討する必要があります。撤去について、行政代執行や法的手段まではまだ考えておらず、現在は推移を見守っています」
報道では、土地所有者はパキスタン系企業とされたが、開発指導課は、「調査権限がないため確認できておらず、イスラム教との関係も分かりません」と取材に答えた。
なお、パキスタン大使の開所式出席については、「許認可したのは事実ではありません。出席者の1人で、土地所有者との関係も分かっていませんので、何ともコメントできないです。ただ、日本の法律を守るよう発信していただき、好ましいことと受け止めています」と話した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)