九州大学が2026年6月18日、同大学の「総合研究博物館」をめぐる「標本整備・保存・活用プロジェクト」を開始すると発表した。「多くの標本が収集から100年以上を経ており...」大学公式サイトに公開されたお知らせによると、総合研究博物館には「約170万点を超える学術標本・資料」が収蔵されており、「その多くは昆虫、魚類、貝類、植物、動物骨格などを中心とした生物標本」だという。収蔵品について「生物多様性や地域環境の変遷を記録するかけがえのない『証拠』であり、新種発見や環境変動の解明など、最先端の研究を支える基盤でもあります」とした一方、「多くの標本が収集から100年以上を経ており、保存資材の老朽化や収蔵環境の不足、未整理標本の存在など、深刻な課題を抱えています」と現状を明かした。将来的に貴重な資料が失われてしまう可能性もあるとして、保存環境の整備や標本箱・収納ケースの更新を進め、保存の現場そのものを公開する「収蔵展示室」の整備を行う意向を示した。同プロジェクトでは、3000万円を目標額として寄付を募る。1万円から寄付を受け付け、寄付額に応じて名前の明示や収蔵庫・バックヤードツアーといったイベントへの招待などのリターンがあるという。募集期間は26年5月24日より30年3月31日までを予定している。なお、同大学は18年にすべてのキャンパスを箱崎地区から元岡・桑原地区の「伊都キャンパス」に移転。同博物館は、26年現在も旧キャンパスがあった箱崎サテライトで運営されている。「いまだに新種が見出される宝の山でもあります」同館の准教授を務める丸山宗利氏は同日、自身のXを更新し本件について説明した。丸山氏は、「NHK子ども科学電話相談」のレギュラーを務めており、紀行バラエティ「クレイジージャーニー」などへの出演でも知られるアジア有数の昆虫学者だ。丸山氏は、同館所蔵の標本群について「将来にわたって安泰とは言い難い状態」とした上で、「しかし研究や生息の貴重な証拠であり、いまだに新種が見出される宝の山でもあります」と説明。支援やリポスト(拡散)を呼びかけた。翌19日の投稿では、「『国立科学博物館のクラファンと何が違うのですか?』との質問を受けたことも明かしている。東京都・上野にある国立科学博物館(科博)では、標本・資料を集めたり保管したりする資金を募るため、23年8月7日から1億円を目標額としたクラウドファンディングを開始。11月には、目標を大幅に上回る約9億2000万円の寄付が集まったとしていた。「近年は資材の高騰でますます難しくなっているのが実情」丸山氏は、九州大学の総合研究博物館について「まず、科博に比べて圧倒的にまだ基礎的な整備が必要で、棚がないとか箱が古いとか、根本的な問題が山積しております」とした。「多くの方の協力を得つつ長年にわたって整備を進めてきましたが、なにしろ量が多い(+貴重な標本の引き取りも行わなければいけない)。そして近年は資材の高騰でますます難しくなっているのが実情です」という。紙製の箱に収められた昆虫標本や、魚の液浸標本が入ったガラス瓶などを写した写真を添え、「たとえばこちらは農学部から来た昆虫のコレクションと魚類のコレクションで、絶滅種(個体群)を含む貴重なものですが、いまだ100年近く前の標本箱と棚に収納されています」と説明。「これらの什器も貴重であり、捨てるわけではありませんが、保存や整理に適したものではありません。展示にも使いにくい。こういうものを新しい箱なり棚にまずは移したいというのが、この寄付金事業の最初の動機です」としている。
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