「おり」にかかっても山へ戻す、狩猟解禁しても冬だけになりそう 「クマは守るべき」の仕組みは限界寸前に

命がけで協力したハンターが猟銃所持を取り消しに

   制度との板挟みということでいえば、こんなケースもあった。

   2018年8月21日に、北海道砂川市で住宅近くに現れたクマの駆除要請を受けたハンターが、警察官などの立ち会いのもとで発砲した。

   しかしその行為が、建物に向けた違法な発砲だったとして、2019年4月に猟銃の所持許可を取り消された。

   猟友会のメンバーとして、命がけで協力した結果が許可取り消しという事態は、社会に波紋を広げた。

   ハンター側は処分の取り消しを求めて提訴。2026年3月、最高裁は「処分は裁量権の逸脱・乱用にあたり違法」と判断し、許可が返還された。

   ただ、錯誤捕獲の放獣ルールも、砂川市での処分も、法律の規定に沿って運用された結果ではある。

   最高裁ですら覆さざるを得なかったこの事態が示すのは、「クマは守るべき希少な動物である」という時代の前提で設計された制度に無理が生じているということだ。

   個体数が増え、生息域が人の生活圏まで広がった現在、現実が制度を完全に追い越してしまっているのである。

   環境省の速報値によれば、2025年度のクマによる人身被害は238人、うち死亡は13人。それまで最多だった2023年度の同219人/6人を大きく上回り、出没件数も5万件を超えて過去最多を記録している。

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