2024年 4月 19日 (金)

仕事の成功は「情熱の量」に比例するのか?

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   雑誌の編集長時代から現在まで、数多くの「稼げる」トップたちにインタビューさせていただきました。一人ひとりは個性豊かで、経営哲学やビジネス戦略もさまざま。業界や業種、会社を興したきっかけもまちまちです。

   しかし比較的穏やかで謙虚な社長でも、「事業にかける思い」に水を向ければ、「市場シェアで一番を目指しています」「顧客満足度で誰にも負けない評価を得るつもりです」と、たいがい火傷しそうな熱さで語ってくれるものです。

高い目標が未知の領域を切り開く

   つい最近も、情熱にあふれた経営者にお会いしました。その方は「低価格・高品質のアイウェア」という命題に臨む、ジェイアイエヌの田中仁社長。

   高校を卒業して地元の信用金庫に入り、女性向け服飾雑貨の製造卸会社に転職。1年で独立していまの会社の前身となる個人事業を立ち上げたそうです。

   いまでは新興市場への上場を果たし、「アイウェア業界のユニクロ」を目指して日本のメガネ市場規模を1兆円に拡大したいと宣言。様々な切り口で新ラインナップを展開中です。

   同社のブランド「JINS」は、ファッショナブルで上質なメガネのほか、目を守る機能に特化した商品やスポーツシーン向けの新シリーズなど、近眼の人でない新たな市場への切り込みを開始。これもひとえに「1兆円市場への挑戦」に対する情熱があるからでしょう。

   稼げる人の情熱は、経営トップだけでなくプロジェクトのリーダーにも必須です。前職のリクルートに勤務していたとき、尊敬する上司も「事業を成長させる最大のけん引力は、リーダーの情熱によるものが大きい」と言っていました。

   新規事業を立ち上げるときや、事業をとんでもない規模に急成長させたいとき。ビジネスを牽引したリーダーに確実な成功パターンなど存在しない。それでも立ち向かい成功を勝ち取った人たちには、合理的な計算式より熱い情熱に満ちていたとのことです。

「ブライダル市場を根本から変えるメディアを構築する。この情熱なしに、あのプロジェクトの成功はありえなかったね」

「最近の経営者は冷めている」という噂は本当か

   ところがその一方で、最近のネットベンチャー、特にソーシャルゲームを開発している会社の社長からは、話しかけても冷めた反応しか戻ってこないと寂しそうにする人もいます。10年以上前に40代で株式公開を果たした、人材ビジネスの社長の話です。

「最近の経営者は、昔より冷めた奴が増えたね…」

   時代が変わったのでしょうか。ただ、一見すると熱さを感じない社長たちも、時間をかけて腹を割って話をすると、静かな情熱の源は持っています。先日も、20代のゲーム開発会社の社長が「このゲームで天下を取りたいですね」と小声で語ってくれました。

   経営トップひとりだけでは、誰でも大きな事業を達成できません。志を同じくする理解者や支援者、一緒に働いてくれる人が不可欠です。

   未知の領域に踏み込むときには、不安が伴うもの。トップやリーダーの確信に裏付けられた情熱が不安を拭い去ることで、関係者が成功を信じて仕事に邁進できるわけです。この構図は、今も昔も変わらないでしょう。

   聞き手に「参りました!」と言わせるような圧倒的な迫力はなくとも、事業を着実に進めていく。変わったのは情熱の量ではなく、発信する側や受け取る側の「表現」や「伝達」の仕方なのかもしれません。

高城幸司

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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