2018年 7月 19日 (木)

すぐに辞める人、しがみつく人 ヘタレなのはどちらか?

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   先日、某ラジオに出演した際、なかなか興味深いやり取りがあったので紹介したい(勝手に引用&記憶ベースで筆起こししているので名前は伏せておく)。

   テーマは若年層の雇用で、就職難にもかかわらず新卒で就職後に3割以上の人間が離職する点が話題となった。

「どうして苦労して入った会社を辞めるんでしょう?」
「とどまる理由がなくなったから。長くいても昇給や出世が限定的だと気付けば、長く勤める理由はありませんね」

若い世代が長くとどまるメリットは薄れつつある

   労働者側から見れば、終身雇用というのは慣習であって「60歳まで働き続けます」という契約ではない。企業は勝手にクビにはできないが、従業員は入社当日に辞めたって構わない。

   にもかかわらず、従来、多くの労働者が転職せずに働き続けたのは、単純にそれがトクだったから。勤続年数に応じて定期昇給やベースアップで、将来に賃上げされることが確実だったからだ。

   ただ、90年代後半以降、そのモデルは崩れ、長くとどまるメリットは特に若い世代において年々薄れつつある。これが「若者が3年で辞める理由」であり、内閣府の言葉を借りるなら「昇給が見込めない以上、自発的によりよい職を探しはじめた」ということになる。

「でも、就職氷河期などと言われている中、せっかく入った会社を辞める必要があるんでしょうか?」
「アナウンサーでも実力のある人はよく独立しますよね。それと同じですよ」

   以前も書いたように、不況にもかかわらずではなく不況だからこそ、アナウンサーは続々と独立している。ただし、それを認めれば、残っちゃってる自分はどうなの?という話になる。「すっぱいブドウ」を求めて、さらなる突っ込みが続く。

「20代で離職して、うまくいくものなんでしょうか」
「うまくいく人もいかない人もいるでしょうが、そもそも人生なんてそういうものでしょう」

若者たちはリスクを背負って選択している

   こうすれば確実にうまくいく人生モデルなんてものは、本来存在しない。仮にあっても、これからはむしろ裏があるなと警戒した方がいい。

   それでも、きっとメディア的には「若者は終身雇用願望が過去最高のくせに、数年で辞めるほど根性なしのヘタレです」と言っといた方が、視聴者的に受けがいいのだろう。

   なるほど、確かに入り口の段階では彼らは保守的かもしれない。でも社会に出た後は、彼らは彼らなりに危機感を持ち、リスクを背負って選択しているわけだ。結果論でどうこう言うのは勝手だが、少なくとも彼らは「保守的」ではないだろう。

   それでも「いや、彼らはヘタレに違いない」と思いこみたいとしたら。取材なんてしなくていいから鏡を見ることをおススメする。立派なヘタレがそこにいるはずだ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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