2020年 9月 29日 (火)

弁護士も人の子 「信頼して任せきり」では不正も起きやすくなる

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   他人に何かを依頼するとき、信頼できる相手にすべてを任せられれば、これほど楽なことはない。自分の手間は省けるし、精神的負担も軽くなる。「自分は信頼できる人間と一緒に物事を進めている」という安心感や満足感もある。

   しかし、任せきりにすると思わぬスキができる。任せられた相手が「何をしてもバレにくい」と感じると、フツーの人間の頭にはつい出来心が生じてしまうものだ。横領や詐欺などの不正は「信頼して任せきりにする」場面でよく起きるのである。

依頼主の「全幅の信頼」に乗じて横領した弁護士

   約4億7000万円の詐欺と業務上横領の罪に問われた元弁護士・T被告の第2回公判が、福岡地裁で先日行われた。具体的な容疑は「依頼人からの預り金の着服」「仮処分申立ての保証金名目での詐欺」などである。

   預り金の着服は、例えばこんな手口で行われる。あなたが家族経営する会社が、主要受注先の破綻により連鎖倒産に追い込まれたとしよう。あなたと家族は自己破産の申し立てを余儀なくされ、自宅近くの弁護士に手続きを依頼することにした。

   事情を説明すると、弁護士は同情の色を見せながら、こう切り出すだろう。

「それは大変でしたね。分かりました、お任せください。着手金として10万円、預かり金として100万円をお支払いいただければ、早急に手続きを行いましょう」

   あなたは親族からお金をかき集め、事務所に持参した。倒産のショックから「信頼できる人に手続きをすべて任せて、少しでも負担を減らしたい」と思うのは当然だ。しかし、弁護士は「全幅の信頼」を置かれたのをいいことに、そのまま手続きをせずに放置し、カネを自分の借金の返済に流用するのである。

   Tの場合、悪化した事務所の経営を立て直すために、最初は「少し借りる」つもりで預り金に手をつけたようだ。そして自転車操業を繰り返しながら、徐々に感覚が麻痺していく。最終的には「仮処分申し立てに保証金が必要」などとウソを言って1億円以上を詐取するなど、莫大なお金を不正に着服する。

   Tは5月に自己破産が確定しており、被害金回復の目処は立っていない。Tに対して債権をもつ依頼人は36人おり、中にはTに紹介された貸金業者から高利で借入をして「預け金」を捻出した被害者もいるという。耳を疑いたくなる状況だ。

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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