責任感が強く有能な管理職ほど、過重労働で体調を崩しがちという説がある。上からの重いノルマをまともに引き受け、部下の尻拭いを真面目にしていたら、おかしくなってしまうのも当然だ。
ある会社では課長が休職している間に、部下の係長が代役を引き受けられるまでに成長した。そこで彼を新たに課長に昇格させ、復職してきた課長を降格する案が浮上したが、人事担当者にはためらいがあるという。
課長は「それは弱りますよ」と言うが
――システム開発会社の人事です。営業部のA課長が、メンタルヘルス不全で1年半休職していましたが、面談の結果、だいぶよくなっているということで復職を認めることにしました。
とはいえ、長期休職後ということもあり、当面は残業させないなどの経過措置が必要となります。A課長が休んでいる間、社内で重要なプロジェクトが走り出していますが、そこにいきなり参加するのは難しいと考え、B係長が参加しています。
A課長が不在の間、営業部の業務はB係長が先頭になってこなしており、実質的な課長代理という働きをしています。A課長の復職後、1か月ほど経って、営業部長が人事にやってきました。
「Aさんの様子をしばらく見てきたけど、まだまだ厳しいな。その代わり現時点では、Bくんが役割を果たしてうまく機能している。まだ少し若いが、思い切ってBくんを課長にし、Aさんを係長へ降格させた方がよいと思うがどうだろう」
翌日、A課長を人事に呼び出して面談をし、降格について打診をしました。すると、
「いやあ、それは凄くショックですね・・・。降格なんて今まで例がないでしょう? 給料も下がるのだろうし、生活設計が狂います。うーん、それは弱りますよ」
ハッキリ言わないものの、勘弁してくれと訴えています。とはいえ、課長を2人にするわけにはいきません。こういうとき、会社としてどういう手が取りうるのでしょうか――