2024年 4月 20日 (土)

日本型グローバル企業は可能か? 「人材」「組織」の視点から

米国型のオープンなマネジメント

   グローバルな会社の本社は、かなりいろいろな人がまざっています。米国人、英国人、フランス人、インド人、中国人。

   かれらは国籍を問わずに優秀なひとを採用して、グローバルに戦います。当然、文化も考えも習慣も違う人が一緒になって働くので、彼らにとっては、それらをまとめる基準が必要です。

   それは、グーグルのような明確なビジョンだったり、徹底的な利益管理、要するに数字だったりします。つまり、バックグランドの異なる人でもわかるような、単純で理解しやすいビジョンや、誰もがごまかしようのない数字をつかって、会社を運営するのです。

   この方式は多国籍国家である米国で培われてきた方法で、元々は米国式ですが、それが、現在のグローバルな環境においては、有利な方法として広まっている、もしくは、これを採用できている米国企業が、多くの人材を有効に活用し、イノベーションを起こせているという考えもできます。

   その傍証に、一例をあげればグーグルの創業者のセルゲイ・ブリンはロシア移民ですし、「シリコンバレーの起業家の64%は移民1世」、つまり外国うまれの外国人だという話もあります。

   これが米国型のオープンなマネジメントです。

   もちろん、これを嫌う人も多くいるのは知ってます。しかし、このやり方に、日本の企業はどのように対抗できるのでしょうか?

「日本の優秀な技術や、キメの細かさ、勤勉さなどで対抗し、日本発のグローバル企業を作る」

   いわんとすることはわかります。しかし、それはすべて、日本人ならではの特徴であることは間違いありません。たった1億2000万人、さらに人口が減っていく日本にあって、そのなかの限られた人材だけで戦うというのと、3億人の米国人にくわえ、インド・中国ほか、世界のエリートをあつめて国籍問わず受け入れる米国企業では、さきほどの武田の例でも触れたように、人材の厚みがちがいます。いくら日本が優秀な技術をもっていても、もっと優秀な技術をもった人材が世界にはいるかもしれません。

   とはいえ、日本ならではのもので勝負する、世界の優秀なひとにはない日本人の独自の優秀さもある、というのもわかります。ただ、そういった人材は限られるし、そういった人材をあつめて企業を作るとしたら、全員が日本人である必要に迫られます。

   日本独自の価値観や、日本語ということば、日本的な組織の立ち振舞に長けたひとで、世界を戦っていかないといけません。

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大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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