前回、「管理職がいない」業界では、マネジメントはどうしているのか?ということで動物病院業界の例を挙げてお伝えしました。今回は獣医師、看護師のリーダーに、「何を伝えたのか?」ということをお伝えしたいと思います。会社にはそれぞれ役割がある私がリーダーに?私が最初に2人に聞いたのは「何を知りたい?」でした。ざっくりとした質問ですが、最初から「リーダーとは?」といった一般論や細かい話をしても理解できないでしょう。すると次のようなことを言われました。リーダーは何をやればいいのか?自分にまとめることができるか不安だ何をやればいいのか分からないのも無理はありません。彼らは20代、30代ですが、リーダーは何をやるかということを明確に教えてもらったことはないのですから。私が伝えたのはこういうことです。会社にはそれぞれ役割があるんだよ。それはこうなっているんだ。経営者(院長):会社の方針を示す。夢を語る。管理職(獣医師長、看護師長):会社の方針を理解し、部下に伝える。部下を育てること。現場(獣医師、看護師):とにかくやる。だからまずは病院の方針を理解することが大事。2人はもう分かってるよね。リーダーになると覚悟を決めてやってみること管理職がやることは会社の方針を部下に伝えて、方針に沿って行動させることなのです。自分が仕事ができるというのは当たり前で、部下ができるようにするのも重要な仕事です。つまり人材の育成です。他にも細かいことはいろいろあるかもしれませんが、これだけを押さえておけば間違いないはずです。さらに次のようなことも言いました。リーダーに必要なことが3つあるんだよ。それは「心構え」「経験」「知識」だ。まずどれが一番大事なのかというと「心構え」なんだ。心構えとは「自分がリーダーになる」と決めること。これは覚悟とも言う。これをなくしてリーダーになることはできない。2人はリーダーをやったことがないから経験はないよね。だから経験はこれから積んでいくんだよ。多くの場合は知識から入ることが多いんだけど、本とかセミナーで理論や理屈を勉強しても分からないよね。でも普通は知識から入る人が多いんだよ。勉強するのは悪いことではないけれど、最初のうちは知識は10%程度でいいよ。だから2人はリーダーになると覚悟を決めてやってみること。そうすることで経験ができる。経験していくことで自分に足りないものが分かってくるのでそこで初めて勉強するということになる。だから順番は(1)心構え、(2)経験、(3)知識になるんだ。私は最初にこの話をしました。やったことがないことに取り組むのだから失敗もすると思います。それは当たり前です。やってみる → 失敗する → 改善してやってみる → 失敗するこれを繰り返していくことで成長していきます。実践に勝るものはなく、失敗しても取り組んでいる姿勢を見せることで部下からも信頼されるようになってきます。まずは「とりあえずやってみよう」という感じで良い動物病院業界のように管理職がいないという状況であれば、逆に新たな管理職像を作っていけば良いと思います。管理職という意識も知識もないので変に染まっていないのが良い点だと思いますし、若くて素直であれば良いリーダーになれる素養はあります。経営者がやらなければならないのは、会社の方針をしっかりと管理職に伝えることです。これができていないと組織が上手く機能しません。強い組織は社員が会社の方針に沿って行動しています。一般の社員は会社の方針に興味がないし、分かりません。だから管理職が部下に伝えていくのです。1回言っただけでは伝わりません。同じことを何度も繰り返し伝えることが大事なのです。おそらくこういうことを質問する人がいると思います。心構えがない人にはどうやって持たせればいいのか?最初から「立派な管理職になる」「会社のために」というような意識を持つことはできないと思います。まずは「本当はやりたくないけど、言われたから仕方ない。とりあえずやってみよう」という感じで良いと思います。これから彼らは、リーダーとはどういうことをやらなければならないのかということを実体験で学んでいくことになるでしょう。私は厳しくも温かく彼らを見守っていきます。(野崎大輔)
記事に戻る