ノーベル賞で湧く日本科学界に暗雲? あるリケジョの「驚愕」倫理観

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   「高校と大学での学修方法や内容の違いは何?」と問われると...何だろう。

   内容が高度(?)になるかどうかは置いといて、ちょっと乱暴すぎる言い方かもしれないが3年生(セメスター制で話すと面倒なので、旧来からの概念で3年生という意味ね)まではそれほど大きな違いはないのでは...というか、最近の風潮では高校は大学に、大学は高校に近づいていると感じている。

   高校でも2学期制が導入されたり、場合によっては単位制が導入されたりしているし、90分連続の授業があったりもする。また、先に書いたように大学でもホームルームがあったり、成績に問題がある学生は保護者を交えた3者面談があったりもする。就職・進学という進路相談もある。

化学合成した物質を提出してもらったのですが...

えっ?チョークですか?......
えっ?チョークですか?......

   「大学は選択科目が多く、自分の好きな科目が取れるじゃん!!」という意見もあるかもしれないが、昔から理系文系問わず、英語や体育は必修科目というのが一般的だし、理系の場合は専門外の基本的な理科の科目や数学も必修科目として設定されていたりする。さらに、文系科目も一定数以上の単位が要求される。結果として、学科内では1年生や2年生ぐらいまで皆ほぼ同じ時間割だったりする。つまり、思ったほどの自由度はない。

   まあ、一般に理系の場合、大学では高校に比較して「実験・実習」科目が多いのは事実であるが、正直に言うと3年生までの学生「実験・実習」科目は「そうならなければ腕が悪過ぎ!!」という基本中の基本の内容である。つまり、手順書通り行えば成功する。いえ、これが大事なのですよ、土台(基礎)がしっかりしていないと鉄筋のビルどころか木造平屋さえ立ちませんから。しっかりと基礎力をつけてこその応用力なのです。

   ある時、「化学」実験を依頼している先生から連絡があった。

「貴学科の1年生の○○さんですが、化学合成した物質を提出してもらったのですが...『黄色のチョーク』だとしか思えないのです」
「えっ、チョークですか...チョークを合成する実験じゃないですよね?」
「当たり前です!!!なんでしたら、現物を持っていきましょうか?」
「...いえ、結構です。いろいろとご迷惑をおかけしまして...」

「え~、ばれちゃいましたぁ~?」

   いくらなんでもチョークはマズイだろう。早速、そのリケジョ呼び出して話を聞いたところ、

「え~、ばれちゃいましたぁ~? だって、水で洗ったら何にも残んなくて~。△△ちゃんも、少ししか残らなかったから分けてくれなくて~」
「色もそっくりだし、わかんないって思ったんですけど~」
「...」

   ちなみに、もう一度確認するが、「実験・実習」科目は「そうならなければ腕が悪過ぎ!!」という基本中の基本の内容である。このリケジョの場合、それ以前の問題なので、技術者・科学者の倫理について、というか人としての常識について、よ~く説教しておいた。

   学生の教育というのは、石をひとつひとつ積み上げては崩れてくるように思えて気分が滅入ってくることもある。しかぁ~し、今回ノーベル賞を受賞された天野浩先生もおっしゃった「自分が日本で受けた教育の賜物です」という言葉に勇気をもらい、一条の光が差し込んできた気分である。

   で、話は戻るが大学の大きな特徴は、4年生に最後の山としてそびえる「卒業研究」があるということであろう。まがりなりにも「研究」である。格好よく言えば「前人未到の世界」に挑むのが「研究」である。これこそ大学で学ぶことの醍醐味であろう。この研究の延長線上にノーベル賞がある...はずである。ではその説明を......と思ったのだが、既定の文字数も尽きたので、またそのうちに。(プロフェッサーXYZ)

プロフェッサーXYZ(えっくすわいじぃー)

国立大学を卒業し大学院修了後、助手として勤務。現在は東日本の私立大学の教授であり、フラスコを持ったリケジョの研究指導をしたり、シュレディンガー方程式に頭を悩ませる男子学生の教育を行ったりしている。受験戦争世代と言われた時代から、バブル世代、ゆとり世代、そして、ゆとりは終わった?という現代まで様々な教育・研究現場を肌で体験している。大学教育のみならず初等~高等教育の現場とかかわりを持ち、日々「良い教育は?」の答えを模索し続けている。ちなみにカクテル好きというわけではない、下戸である。また、「猫」も飼っていない。
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