2020年 10月 29日 (木)

「ブラック隠し」求人票を排除せよ その前提「ブラック判定」はこうすべし

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「ブラック企業」という言葉自体が、問題を曖昧にしている

   「ブラック企業」というキーワードは実に便利だ。違法企業も、厳密には違法ではない企業も、全部怪しげな印象としてひとまとめにしてブラックという。話題になりやすく広がりやすいし、「違法企業だ!」と糾弾しているわけでもないので、訴えられるリスクもない。

   毎回のように主張していることだが、「ブラック企業」という曖昧な言葉の存在が、この問題の解決を遅らせている。ここはまず、違法状態の企業は明確に「違法企業」として切り出して、労基署は積極的に改善指導を行って頂きたい。

   そして、指導しても反省の色が見えない「確信的再犯ブラック企業」に対しては、それこそハローワークでの求人拒否はもちろん、ブラックリストに名前を挙げて全国から閲覧可能にするほか、送検や逮捕、起訴に至るまで厳罰化するなり、懲罰的損害賠償金を課するなりの対応をしてもらいたいものである。従業員がいなくなり、客がつかなくなればブラック企業も自然に干上がっていく。段階的にでも、そのような状態になっていくことを期待したい。


<補足>労基署がブラック企業に対して行う「是正勧告」は強制力のない「行政指導」であり、公権力の発動として業務停止命令や許可取消処分などが行われる「行政処分」ではない。したがって、勧告に従わなかったことで会社に何ら不利益はないところが、ブラック企業を跋扈されている一因とも考えられる。

   また、東京労働局における2013年度の総合労働相談件数は「11万4797件」であったが、そのうち労基法違反など、司法事件として送検まで至った件数はわずか「58件」であった。

   その点、更なる厳罰化も期待したいところである。

   なお、懲罰的損害賠償制度は英米各国には存在するが、日本にはない。1997年には、同制度に関するアメリカの州裁判所判決の日本での執行を求める裁判で、最高裁は「我が国における不法行為に基づく損害賠償制度の基本原則ないし基本理念と相いれないものであると認められる」などとして、「その効力を有しない」との判断を示している。

   次回はこのような、「目の前の問題を法的に何とかしたいが、現状に対して法律が追い付いていっていない問題」や、「違法状態が、法的手続きによってなぜか合法になってしまっている問題」を扱い、今後の方針を考えていきたい。(新田龍)

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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