外資系企業の若手社員と次世代幹部候補の人材育成の支援に携わらせていただいています。私は今までにない案件なので、どのように進めていくか内心不安でした。まずは人事部長と担当者の方から会社の現状をヒアリングしていくと、その不安は消し飛びました。外資系だろうが日系だろうが根本の課題は同じだということが分かったからです。社員に求めるのは次の2点です。・社員には自分で考えて行動できる自律性が強く求められる・知識やスキルよりも基礎(仕事に対する姿勢や行動)が大事である日系企業では自分で考えて行動するという自律した社員が求められますが、外資系ではもっと強く求められるそうです。事細かな指示はなしで「お任せ」考えるより行動を!人事部長から聞いたのですが、誰もが知っている某大手のコンピューター会社に中途で40人入社しても半年後には半分は辞めるそうです。世間でいう一流企業ですから入社するのも難しく、優秀な人材が集まるそうです。「なぜ半年でそんなに辞めるのですか?」と聞くとこのように言われました。「A社に入ると、ではこの仕事をあなたに任せますのでよろしくお願いします」とだけ言われるそうです。具体的にどうするとか、そういう指示はほとんどないそうです。この会社に入ったあなたは専門職なのだから、自分で考えてできるでしょ?という考えだから、事細かに指示はされないのです。日系の大企業では稟議があったり、上司にお伺いを立てたりといった根回しが必要なこともあります。指示が来るのでやることは分かるから、それを粛々とこなしていけばいいわけです。勝手にやるとあとでNGが出たりすることもあるので、こういうことが必要です。自分で考えてやれ!と言われても半分は指示を仰がないとできないわけで、完全に自律できているというわけではないかもしれません。基礎をしっかり確立させるだから、この会社のようにほぼ丸投げに近い状態で任されると、「何をやればいいのか分からない」といった状況に陥るらしいです。例えば「ここはこうした方が良いでしょうか?」という風に上司に聞きにいくと「自分が良いと思うなら、それでやればいいじゃないか。君はそのために雇われているのだから」と言われるらしいです。全くカルチャーが違うのでついていけない、合わない人が辞めていくのです。本当の意味での自律性が強く求められるということです。後日、社長にもヒアリングをさせていただく機会をいただきました。私は社長に人材育成の構造を説明させていただき、知識やスキルよりまずは基礎(仕事をする上で必要な行動と姿勢)をしっかり確立させることの重要性を説明させていただくと「まさしくその通りです。基礎ができていない社員は能力が高かったとしても上手く行っていないと思います。これはBaseAbilityとでも言えるのでしょうかね。あとは状況の変化に臨機応変に対応できる対応力と、外国人と仕事をするにあたっては異文化の理解とタフな精神力が求められます」スマートな能力ではなく、もっと地味で泥臭いものが重要だそうです。考えるより行動を巷では、某コンサルティング会社を辞めた人が外資系で活躍している人の仕事の習慣について書いた本や、一流のビジネスパーソンの仕事術の本が売れているようです。私も興味があるので一通り買って読んでみましたが、相手のことを考える好奇心を持つ時間を守るといった当たり前のことが6割くらい占めていました。本によっては9割くらいを占めていました。面白いことに、外資系コンサルティング会社の経営者クラスの方が書いている本の方が基本的なことが多かったです。どれにも共通して書いてあったのは「考えるより行動しろ!」ということでした。これは名フレーズだなと思ったのは、思考より試行しろということです。多くの人はプロになることに憧れを持ちますが、自分は能力がないから無理だと諦めていると思います。プロに学歴は関係ないし、有名な会社に勤めているということも関係ありません。経理のプロ、営業のプロ、開発のプロというように全ての人がプロになれるのです。目に見えない地味な基礎を地道に積み上げていくことがプロへの道につながるのだと思います。(野崎大輔)
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