2019年 12月 11日 (水)

社員を正当に評価できない 「根が優しい」経営者が陥る罠

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「社員は家族も同然のような存在」

   人件費高騰の理由が分かった私は、社長に勤怠評価の上ブレ、すなわち総体的に甘い評価に問題があるということを指摘しました。すると、こんな答えが返ってきたのです。

「ウチのような中小企業では、社員は家族も同然のような存在です。一人ひとりがどんな家族構成で、どんな生活をしているのか、まである程度分かっている。だから全員に良い評価をつけたくなるのが親心と言うもの。もちろん、そこは抑えています。そうは言っても、社員には気持ちよく働いて欲しい。給与が下がるような標準以下の評価は、いつ辞めてもらってもいいと思えるような社員でないとつけられないです」

   フォークシンガーの吉田拓郎氏が、以前ラジオで自身がフォーライフ・レコードの社長を務めていた時の話をしていました。もともとはその豊富な人脈と知名度を買われて、赤字企業立て直しの社長に、と推挙されたといいます。実際に、複数の大手芸能プロダクションとの提携を推し進め、新たなビジネスモデルをいくつも軌道に乗せることに成功して、黒字化に転じさせた功労者なのです。

   そんな拓郎氏が聞き手から、「名経営者じゃないですか」と持ち上げられると、「とんでもない。僕は経営者失格で、早く降りたいとずーっと思っていたのです」と答えました。その理由が、「社員を正当に評価できないから」だったのです。

「当時のフォーライフは、総勢20人ほどの中小企業です。社員の査定とかは、評価とかそっちのけでついつい『あいつ子供が生まれたんだよな。少し給料あげてやるか』になっちゃう。それが本人のやる気につながってくれればいいかなって、言い訳付きで。でも本当は社員を正しく評価して良い評価も悪い評価も糧にしてもらって、それを業績向上につなげようと思えないなら、経営者としては失格ですよ」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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