「話の分かる」課長の悲しい酒 「飲みニケーション」が招いた悲劇
【職場のストレス大解剖】

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   「ストレスは酒で解消だ!」「ガバッと飲んで明日は元気!!」――こんなコトがメンタルヘルス対策と思っている人が多い。ここは、注意が必要です。

   日本のビジネスパーソンは、弱音を吐かない、強い心と体が求められてきました。しかし、ハイパーチェンジの時代、終身雇用や年功序列は崩壊し、人工知能やビッグデータなどで仕事そのものも変化し続けている。そんなプレッシャーを跳ね返し、不安を和らげる意味でも、酒は欠かせない。そう思っている人が、実に多いのです。

いつしかアルコール依存症に

あなたは大丈夫? 知らないうちにあなたも・・・
あなたは大丈夫? 知らないうちにあなたも・・・

   家庭円満のA課長(52歳)。酒好きで、健康だ。弱音を吐かない完璧主義な性格。だからストレスが溜まる。自分自身のストレス解消も兼ねて、部下と「縄ノレン」をくぐる。順調に出世したA課長に部下が増えた。部下達とのコミュニケーションを「飲み二ケーション」と称し、毎晩のように居酒屋通いが続いた。「話の分かる、弱音を吐かない課長」と慕われた。

   ある日、会社の健康診断データから医師に「お酒をやめなさい」と言われた。やめたら、その後、発汗、頻脈、発熱などが続き、「天井からネズミが自分を見ている」などと言い出した。

   専門医に受診したところ、アルコール依存症に伴う振戦せん妄(お酒をやめた時などの離脱症状のひとつで、自律神経亢進や幻覚などがみられる症状)と診断された。A課長は「私がアルコール依存症なんて、何かの間違いですよネッ」と信じられない様子だった。しかし、落ち着いてふり返ってみると、確かに見栄を張り、不安を酒で紛らしていた。強がらずに「弱音を吐いていれば良かった」と嘆いている。

働く人々の多数が軽症のアルコール依存予備群の危険

   あなたは大丈夫ですか?楽しいはずの「飲みニケーション」も、A課長のように、慢性化するとリスクが高まります。ある調査では、働く人々の多数が軽症のアルコール依存予備群の危険があると警告を鳴らしています。

   仕事の「飲みニケーション」が、じつは「静かなるアルコール依存」を形成していることもあります。悲しい酒にならないように、以下の5か条を参考に、注意をし、健康飲酒にしましょう。(佐藤隆)

【メンタルヘルスから見た、「良い飲みニケーション」の5か条】
1:「飲みニケーション」は、「特急」のぞみ(飲んだら止まらない)ではなくて、「各駅停車のこだま」で行こう。
2:酒の上だから・・・と言って、自分自身を大目にみることをなくそう。毎日飲みたくなったり、飲んで記憶がなくなったり、他人とトラブルを起こすようだと要注意。
3:宴会や、縄ノレンで一杯のときは楽しい雰囲気づくりのためにも、他人に酒を強いることはやめよう。
4:重要な仕事の話は酒席ではせず、業務中にしよう。
5:翌日にアルコールが残らないように、短時間、適量飲酒にしよう。

佐藤隆(さとう・たかし)
現在、「総合心理教育研究所」主宰。グロービス経営大学院教授。カナダストレス研究所研究員。臨床心理学や精神保健学などを専攻。これまでに、東海大学短期大学部の学科長などを務め、学術活動だけでなく、多数の企業の管理職向け研修にも携わる。著書に『ストレスと上手につき合う法』『職場のメンタルヘルス実践ガイド』など多数。
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