2024年 5月 5日 (日)

同僚が突然会社を無断退職 激怒した上司は「損害を償え」と息巻くが
【「フクロウを飼う」弁護士と考える】

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保障されている「退職の自由」

   今回のケースでも、従業員が無断で休んだことや損害が生じた原因が、会社と従業員のどちらにあるかによって、損害賠償請求ができるかどうかや、その額が大きく変わってきます。もし会社が無茶なスケジュールでプロジェクトを組んだ結果、従業員が数百時間もの残業を強いられてうつ病にかかってしまったと場合ですと、会社の責任が大きいと認められます。そうなると、会社も安全配慮義務に違反したと言えますから、会社は同僚の方に対して損害賠償を請求できないか、できたとしてもわずかな額にとどまるでしょう。

   日々の業務があまりに忙しく、残業が続いたりして「仕事を辞めてしまいたい」と考えたことがある人は少なくないと思います。しかし、無断退職は社会的に決してほめられた行為ではありません。

   そもそも、労働者には「退職の自由」がしっかりと保障されており、会社にはこれを拒否する権利はありません。無断欠勤しか選択できなくなるほど心と体が追い詰められる前に、勇気を出して行動することをおすすめします。

   ポイント2点

   ●無断欠勤を重ねると、懲戒解雇を言い渡される可能性がある。しかし労働者が解雇を拒んだ場合、会社を休んでいるという理由だけでは、合理的理由がなく、社会通念上相当でないとして解雇は無効になる。

   ●会社から従業員に対する損害賠償請求は制約があり、故意や重大な過失があるときに限られる。また、金額においても、会社と従業員の責任を考慮し決定されるが、わずかな額にとどまることが多い。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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