親にはいつまでも元気でいてほしいと思っていても、背中が小さくなっていたり、足もとがおぼつかなくなっていたり......ふと老いの兆候を目にすると、やるせない気分になることもある。20年、30年......都会での暮らしのほうが長くなったうえ、日々を忙しくすごしていると、やはり故郷は遠いもの。そんな人は、せめて敬老の日ぐらい、老親への感謝の気持ちを示したいのではないだろうか。2人に1人が「親の体調」を不安視そんな敬老の日を前に、離れて暮らす高齢者の生活リズムや室内環境をモニタリングするシステム「SUKOYAKA」を手がける日本光電が、「両親とのつながり」について調査(2017年8月22~25日実施)した。両親と同居していない、全国の30?60代の5028人に、両親の体調について聞いたところ、2人に1人が「親の体調に不安を感じている」と答えた。「とても不安がある」と答えた人は19.7%、「少し不安がある」は43.3%と、あわせて63%の人が両親の体調に不安を感じていたことがわかった。離れて暮らしているだけに毎日の微細な変化を目にできず、心配している様子がうかがえる。では、コミュニケーションの手段はどうしているのだろうか――。「定期的、または頻繁に行っているコミュニケーション手段」を聞いてみると、「訪問する」が65.9%とトップ(複数回答)。やはり顔を見せることが、なによりの「おみやげ」なのだろう。次いで、「電話をする」が52.6%。「電子メールをする」が17.9%、「LINEやメッセンジャーでメッセージを送る」が14.5%と続いているものの、その一方で「何もしていない」という人も11.7%いた。少数派として「手紙やハガキを送る」が3.6%、「テレビ電話、ビデオチャットで話している」2.3%、「一緒に仕事をしている」が1.6%。イマドキの「FacebookやInstagramなどのSNSでつながっている」人もいたが、0.9%とまだまだ少なかった。また、「過去1年間に親のもとへ帰省しましたか」との問いには、「正月」の59.2%と「夏休み」の55.1%が半数超え。以下、「ゴールデンウィーク」が37.5%、「秋休み」22.5%、「その他」21%となった。ただ、「帰省していない」も18.8%。約5人に1人は、1年間に一度も帰省していないことになる。「自分はまだまだ若い!」と言い切る親さて敬老の日だが、「2016年の敬老の日に両親に対してとった行動」を聞くと、「何もしていない」が圧倒的に多く、60.3%という結果だった。「訪問した(帰省を含む)」が15.8%、「プレゼントを贈った」と「一緒に食事に行った」がそれぞれ14.9%。「電話をした」が11.2%、「一緒に買い物に行った」は6.2%......と続いている。こうしてみると、「敬老の日」はさほど重視されていないようだが、それにはなにか理由があるのだろうか――。ツイッターをみると、「自分はまだまだ若い!と言い切る親に敬老の贈り物をしたら嫌な顔される」「もうすぐ娘ができて初めての敬老の日......え、なんかしないといけないのかな??どっちの親もバリバリ仕事してるし、老いてる感じではないんやけどなぁ。悩む......」「敬老の日の対象って、祖父祖母だけやと思ってたけど、老人を敬う日ってことは親も入りはじめるのかな?」といった声が。さらには、「きょう幼稚園の敬老会で、うちの義母は『まだ敬老されたくない』と行かなかった。他のおうちも『敬老会なら行かない』って。そんなおばあちゃん、多いみたい」「そういえば妹の義母は80歳も近いというのに、敬老の日にプレゼントあげるとひどく不機嫌になるらしい」「社会人の孫がいても、なお年寄り扱いされたくないというのは、あっぱれなのか、自覚が足りないのか、どっちだろう」などと、年齢を感じさせない若さを保っている親世代のようすもうかがえ、子ども世代には「敬老」するのが失礼にあたると考えている人が少なくないらしい。(KM)
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