2024年 4月 24日 (水)

「働き方改革」は茶番!? 大企業の愚、人件費削減に問題すり替え(大関暁夫)

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   長時間労働の改善における裁量労働制と並ぶもうひとつの柱は、「残業時間の上限規制」です。

   これは、残業時間の上限を法令で月45時間、年間360時間とするもので、本法案が成立すれば2019年4月以降、上場企業から順次導入が予定されています。残業の削減問題は、15年12月の電通の元社員、高橋まつりさんの過労死事件が引き金となって、手本を示すべき大企業が自主的に取り組んできました。しかし、各企業がこの問題に真摯に取り組んでいるのかと言えば、これまた疑問符が付くというのが偽らざるところなのです。

   ある大手金融機関は、電通事件後に産業界に吹き荒れた残業削減の嵐を受けて、「最終退社時間20時」を打ち出しました。

   金融機関では以前より顧客情報漏えい防止などの観点から、仕事の自宅への持ち帰りを全面禁止しています。そのような状況下で「本当に20時退社が徹底できているのか」と知り合いの金融機関社員の方にたずねると、「じつは人事部から抜け道を指示されています」と打ち明けてくれました。それは、「夜の残業は20時までだが、朝なら何時に来てもいい」というもので、これには呆れてモノも言えませんでした。

   単純に考えてみてください。夕方約2時間の残業をして、毎朝始発電車で出社して6時から仕事をすれば、朝も所定時間外勤務が約3時間になってしまう。すなわち、合計1日約5時間の残業が可能なのです。

   仮にこれを月20日やったとすれば、100時間。一般に言われる残業の過労死ライン80時間を軽く超えてしまいます。こんなことを平気で言うような人事部をもつ企業が本気で残業削減に取り組んでいるとは思えませんし、さらに言うなら「働き方改革」など、単なるお題目であり、監督官庁から目をつけられないように体裁だけ整えればいい、と思っているに違いないとしか思えないのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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