記録的な猛暑が世界中を襲った2018年8月。ビジネス界では米国初の1兆ドル企業が誕生しました。「1兆ドル達成レース」を制したアップル社の、故スティーブ・ジョブズ氏が後輩に残した「遺産」から、「米国の英雄」ジョン・マケイン上院議員の「最後のメッセージ」まで、時代を動かしたスーパーヒーローたちのことばをご紹介します。アップル、「1兆ドル達成レース」を制す!2018年8月、米アップルの株式が過去最高値をつけ、時価総額が1兆ドル(約112兆円)を超えた、米国初の上場企業となりました。主力のスマートフォン「iPhone」の売り上げが好調で、米アマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグルの親会社)との「1兆ドル達成レース」を制しました。2011年、ジョブズ氏の引退に伴いアップル社CEOに就任したティム・クック氏は、全社員に向けたメッセージで、スティーブ・ジョブズ氏の「遺産」をこう紹介しました。StevefoundedAppleonthebeliefthatthepowerofhumancreativitycansolveeventhebiggestchallenges-andthatthepeoplewhoarecrazyenoughtothinktheycanchangetheworldaretheoneswhodo.(スティーブは、人間の創造力がどんな困難でも解決できると信じてアップルを創業した。そして、「自分が世界を変えられる」と信じるほどクレイジーな人間こそが、世界を変えることができると信じていた)スティーブ・ジョブズ氏が2005年に名門スタンフォード大学の卒業式で行った「becrazy(クレイジーであれ!)」というスピーチは、広く感動を集めて伝説になっています。アップルの創業は、1976年にジョブズ氏が車庫で始めたビジネスにさかのぼります。たった二人で始めたビジネスが時代を動かす企業にまで育った根底に、「クレイジーであれ!」という哲学が脈々と受け継がれてきたに違いありません。1兆ドル達成の祝福ムードに沸くなか、改めてジョブズ氏のことばを紹介したクック氏。ジョブズ氏の「遺産」はこれからも生き続けることでしょう。「私たちはいつも、意見の相違よりも共通点のほうが多いのだ」 「ソウルの女王」として知られ、伝説的な歌手となっていたアレサ・フランクリンが、米ミシガン州デトロイトの自宅で亡くなりました。 黒人女性歌手として、女性解放や公民権運動に多大なる影響を与えてきた彼女は、数年前に受けたインタビューのなかでこう語っていました。We'vecomealongway,butthereisstillalotofdiscrimination.There'sstillawaystogo(長い道のりを経て、今なお多くの差別が存在する。まだまだ道のりは長い)フランクリン氏の後を追うように、党派や国境を越えて尊敬を集めた米共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員が亡くなりました。軍人一家に生まれ、ベトナム戦争での過酷な捕虜生活を生き抜いた「ヒーロー」に、あのVIPたちからも追悼のメッセージが寄せられました。ビル・ゲイツ氏MythoughtsarewithJohnMcCain'sfamily,friends,andcolleagues.Hispassingisalossforourcountry(ジョン・マケイン氏のご家族、友人、同僚のみなさんにお悔やみ申し上げます。彼を失うことは、我が国にとって大きな損失です)イーロン・マスク氏TheworldlostagreatmaninJohnMcCain.Hewasanhonorable,kind,braveandfundamentallydecenthumanbeing.Ifonlythereweremoresuchpeopleintheworld.(我々は、偉大なるジョン・マケイン氏を失った。彼は尊敬に値し、親切で、勇敢で、根っからまともな人間だった。彼のような人がもっといればいいのに)近年、病と闘っていたマケイン氏は、人生の幕引きを前に最後のメッセージを友人に託していました。その一部をご紹介します。Weargueandcompeteandsometimesevenvilifyeachotherinourraucouspublicdebates.Butwehavealwayshadsomuchmoreincommonwitheachotherthanindisagreement.(私たちは、騒々しい公の討論の場で、反論したり、競争したり、時にお互いを中傷したりする。でも、私たちはいつも、意見の相違よりも共通点のほうが多いのだ)フランクリン氏とマケイン氏の葬儀には、性別、国籍、宗教、政党といったさまざまな違いを超えた人々が集まります。二人の偉大なスーパーヒーローに寄せられたメッセージや涙に、「世界は変えられる」と「クレイジーに」信じたくなりました。(井津川倫子)
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