2024年 4月 27日 (土)

「仁義なき就活戦争」の始まり? 経団連・中西会長の「ルール廃止」発言、新聞社説はどう報じたか

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唯一、日経新聞が「支持」する理由は?

   こうしたなか、ほぼ全面的に「中西提案」に賛同しているのが日本経済新聞の社説「中西氏の問題提起受け就活論議深めよ」(9月5日付)である。

   まず、中西会長の「ルール廃止表明」を「『新卒一括』に偏った採用は時代遅れなのに、ルールがあるため温存されているとの考えからだ。その問題意識は理解できる」と支持する。

   そのうえで、「経団連は採用活動の開始時期を指針として定め、企業に横並びの採用活動を促してきた。それが新卒一括採用と表裏一体の仕組みだからだ。大勢の学生を説明会や選考の場に呼び込んで一定の質の新卒者を確保することで採用のコストも抑えられる。こうした効率的な新卒一括採用が、他社の経験のない若者を自前で育てるという日本企業の慣行の土台になってきた」と批判。そして、こう続ける。

   「グローバル化やデジタル化が進み、企業は人材を外部にも柔軟に求める必要性が高まっている。環境変化に合わせ採用活動も見直すべきだとする中西氏の考えは理にかなっている」というわけだ。 しかし、さすがに「慎重に見極めたいのは(ルール撤廃で」学生が受ける影響」として、「中西氏の問題提起を一つのきっかけとして、経団連は大学や文部科学省などと就活のあり方について議論を尽くすべきだ」という。

   日経新聞ほど「中西提案」寄りではないが、この際、就職活動のありかたを考え直すべきだとする論調も少なからずある。産経新聞社説(主張、9月6日付)は、

「一足飛びにルール撤廃へと向かう前にやるべきことは多い。新卒一括採用の見直しや、幅広い人材に門戸を広げる通年採用などの取り組みである。これを機に産業界は、大学や政府とともに、就活のあり方について、もっと議論を深めてもらいたい」

   と提言。

   毎日新聞社説「何らかの『目安』は必要だ」(9月5日付)も通年採用を勧めている。

「日本型雇用の特徴である『日本型雇用』は、新卒時にいい企業に就職できないと労働市場から締め出されるとの弊害も指摘される。諸外国のような『通年採用』にすれば、さまざまな人材にチャンスが広がるだろう。現行の就活ルールの下でも通年採用を行っている企業はあり、就活の『目安』があることとは矛盾しない」

   と、ルールを維持しても改革は行えるとの立場だ。

   この議論はどこに落ち着くのだろうか。学生をやきもきさせないためにも、できるだけ早く結論を出してほしい。(記者 福田和郎)

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