2024年 4月 16日 (火)

伊藤忠のTOB提案 なぜ、デサントは「敵対的=悪」と思ったのか?(大関暁夫)

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   スポーツ用品大手のデサントが、伊藤忠商事から経営権掌握の目的で、敵対的TOB(株式の公開買い付け)を仕掛けられたと報じられました。

   これに知り合いの2~3年後の上場を想定している、中堅IT企業の経営者O社長が反応しました。

  • 「敵対的TOB」は悪か!?
    「敵対的TOB」は悪か!?
  • 「敵対的TOB」は悪か!?

伊藤忠がデサントにTOBを仕掛けたワケ?

「どちらも、うちから見れば大企業なのですが、より大きな伊藤忠が自分たちの言うことを聞かせようと、資金力にモノ言わせて経営を牛耳ろうっていうのですから、個人的にはデサントが気の毒になります。 聞けばこれまでも長年取引があり、社長も一時期は伊藤忠から来ていたのを、創業家が追い出したものだから、先方の逆鱗に触れたのだと。我々のような小さい企業は仮に上場しても、取引先の大手企業がその気になれば、企業買収なんか容易にされてしまう。そんな存在です。デサントさんも伊藤忠に比べれば、ちっぽけなものでしょうから、本件は先々うちが上場した後を考えると本当に身につまされる思いです」

   過去にハゲタカファンドをはじめとした強引な敵対的TOBを目にする機会が多く、どちらかといえば「敵対的買収行為は悪」というイメージが一般的に根付いているようにも思える我が国では、経営者レベルでもO社長のような拒絶反応に近いものが出てくるのは珍しくありません。

   ただ、「デサントVS伊藤忠」の件は、よくよく伊藤忠サイドの言い分を読んでみると、必ずしも社長が言うような弱肉強食的なやり口ではないようです。伊藤忠が目標とする最終的な持ち株比率も、支配権を得る過半ではなく40%に抑えているという姿勢も含めて、個人的にはむしろデサントにとって好意的な申し出であるように思えるのです。

   伊藤忠の言い分によれば、現状のデサントのやり方はリスクが大きいと指摘しています。その理由は、売り上げの過半が日本や欧米に比べて市場規模の小さい韓国市場向けであるということ。それを必要以上にリスクと考えるのは、デサントが過去にも同じような売り上げの偏りがあり、その市場の縮小で経営危機に陥ったことがあるからなのです。

   しかも、そのときデサントを救済したのが伊藤忠で、それが両社の結びつきの発端だったというのですから、同じ轍を避けたい伊藤忠としては当然の懸念かもしれません。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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