2020年 8月 10日 (月)

英国のEU離脱で3月29日に起こること 大勢は「最悪の事態」回避と読むが......(小田切尚登)

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英国「なし崩し離脱」でGDPは年に数%下落

   英国と他のEU加盟国(多くは欧州大陸諸国)とは、経済で互いにWin-Winの関係を築いてきた。金融やマスコミなどのサービス業が強い英国と、農業や工業に強みのある他のEU諸国とは補完関係にある。

   しかし、英国がEUから離脱するとそこに壁がつくられ、スムーズな経済活動が妨げられる。英国がなし崩し的にEUを離脱すると、英国のGDP(国内総生産)は年に数%のレベルで下がっていくだろう、というのが、ほぼすべてのエコノミストのコンセンサスである。

   国民生活に短期的に最も大きく影響すると思われるのが、農産物の貿易である。農作物は「もともと関税が高く、規制の網が張り巡らされているうえ、短期間でも流通が止まったら品質に大きな打撃を与える」(ファイナンシャル・タイムズ紙)ためだ。

   たとえばイチゴが税関で数日間放置されたら、売り物にならなくなってしまうだろうし、消費者が食料の買いだめに走ったら、価格高騰と品不足を招きかねない。一方で、英国からの食料輸出には、さらに厳しい事態が予想される。英国産の肉や乳製品はEU外の産物ということになるので、EUに輸出するには新たに税関や検疫を通らなければならなくなる。

   さまざまな混乱が起きることは必至だ。

   工業分野も、中長期的に大きな悪影響が予想される。すでに自動車大手のホンダをはじめ、多くのメーカーが、英国の生産拠点を撤退あるいは縮小する考えを表明している。EU離脱はまだ決まったわけではないが、今のような不確定な状況が続くのであれば、英国から逃げて、将来へのリスクを減らしておこうと考えるのは当然だろう。

   サービス業については、世界の金融の拠点の一つであるロンドンが、その地位をドイツのフランクフルトに奪われるかもしれないという状況にある。また弁護士、会計士、医師などについて、今まで英国人がEU内で活動できたものが、禁止されたり大幅に制限されたりするようになるリスクもある。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ、60歳。
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