2019年 4月 24日 (水)

なるほど、スタバやマックが世界に拡大した理由がわかった!(気になるビジネス本)

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『インターナル・コミュニケーション経営』(清水正道編著)経団連出版

   「グローバル化」や「社会の少子高齢化」は、すでに着実に進んでいる。街はマルチリンガル化する一方で、東京都内にも限界集落がみられるほどだ。企業には外国人の従業員が増えているが、この4月からは改正出入国管理法が施行され、職場にはますます文化や習慣が異なる同僚が多くなるだろう。少子高齢化や働き方改革の影響で職場ではまた、働く人の年齢幅が広くなることも考えられる。

   こうした変化が進むなかで数年前から、経営者や管理部門担当者らに注目されているのが、インターナル・コミュケーション(IC)とかインターナル・ブランディングの施策だ。進む組織内の多様化に、内部のコミュケーションを活性化して対応しようという。変化が加速度的な現代では、場当たり的な処置では不十分。その施策を核に据えた経営が求められる。

  • 米マクドナルド本社はIC活動に熱心で、シカゴに設けた10年後の姿を見てもらうため全世界の社員を招待した。
    米マクドナルド本社はIC活動に熱心で、シカゴに設けた10年後の姿を見てもらうため全世界の社員を招待した。

グローバル化の中の成長のカギ

   企業では、グローバル化などの変化が急速に進むなか、率先してインターナル・コミュニケーション(IC)活動を始める経営者がみられるようになり、同じように急速に進歩する情報技術革新を利用することで活動が活発化。企業内でその業務に携わる社員らの数も増えている。本書「インターナル・コミュニケーション経営」は、意思疎通のあり方を、実際の企業の例で示しており、施策の担当者でなくてもわかりやすい。

   IC経営は、本書の定義では「経営視点から『トップマネジメントがインターナル・コミュニケーション活動を経営の中核的企業行動の一つとして捉え、日常的な経営の仕組み(仕掛け)に組み込み、経営戦略を効果的に実行すること』」。手本となるIC経営を実践している12社の日本企業と9社の米国企業の例を詳しく紹介している。

   欧米の企業では、雇用側と非雇用側との別が、日本と比べて伝統的に歴然としており、そのギャップを埋めて一体化を促すためにIC活動は活発という。例のないレベルで多様化が進むとみられる日本の企業でも、これまでの「チームワーク」や「組織」「協力・連携体制」などを主な目的にしたICに加え、労働市場が流動的な米国で近年推進されているような、個々の社員を対象にした働きかけが求められるのではないかという。

社員の永年勤続促す施策も

   たとえば、コーヒーショップチェーンで知られるスターバックスのインターナル・コミュケーション(IC)経営の特徴は、確定拠出年金や大学の学費負担などの福利厚生施策。社員の会社信頼度を高め、有能な人材に長く勤務してもらうのが狙いだ。そのことに関する情報発信や、コミュニケーションにぬかりがないよう配慮している。

   航空機メーカーのボーイングにはフルタイムで勤務する「コミュニケーター」を配置。ボーイングストーリーという社内ニュースを、社内専用の発信ツールのアプリ「ボーイング・ニュース・ナウ」で社員に伝える。1週間に15~20本の記事を掲載、ほかに、同10~15本の動画投稿もある。「ナウ」のコンテンツは、内容によってはフェイスブックなど外部のSNSに投稿が可能。同アプリは社員の信頼度維持に非常に効果があり、社内では高い評価を受けている。

   世界にハンバーガーショップのチェーンを展開するマクドナルドも、社員専用SNSを設けるなどIC活動に熱心だ。なかでもユニークな施策は、本社があるイリノイ州オークブルックに近い同州最大都市シカゴで、空いているビルを借りて、そのビルで同社の10年後の姿を表現したこと。そこに世界中の社員を招待して未来の様子をみてもらった。「CEO(最高経営責任者)がビジョンを語ることはいくらでもできるが、それを実際に目で見ると、インパクトは大きい。CEOのビジョンがもっとも強く全世界の社員に伝わったタイミングとなった」。

   日本では近年、新卒社員が勤続年数が浅いうちに辞めてしまうことに頭を悩ませている企業が少なくない。そうした対策としてもIC経営が有効となる可能性がありそうだ。

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「人を活かし組織を変える インターナル・コミュニケーション経営 経営と広報の新潮流」

清水正道編著、柴山慎一、北見幸一、中村昭典、佐桑徹、池田勝彦、佐藤浩史著
経団連出版
税別2000円

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