2019年 10月 23日 (水)

中小より規模が小さい「大手私鉄」が存在! そのワケは輸送密度の濃さにあり(気になるビジネス本)

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   平成の時代に新幹線網の整備が進み、それに合わせて並行在来線の第3セクター化やブルートレインとして親しまれた寝台列車が次々と廃止になり、それを惜しむように鉄道ブームが大きなうねりになった。

   その後も鉄道各社が車両の多様化やサービスの向上に努め、鉄道への関心は裾野を広げて、ブームはなお健在のようす。元号が平成から「令和」に変わり、新時代の幕開けの鉄道シーンでは、私鉄のプレゼンスが大いに高まっている。

「関東の私鉄格差」(小佐野カゲトシ著)河出書房新社
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平成に存在感高めた関東の私鉄各社

   昭和の時代に私鉄が存在感を誇ったのは、関西で展開する各社だった。歴史的な経緯もあって大手各社のほとんどが、新幹線と同じ線路である標準軌を採用し高速化を推進。いち早く2階建てやテレビ付きの車両を導入するなどの利用者サービスを打ち出し、注目を集めたのも関西の会社だった。

   また、沿線開発の一環として争うようにプロ野球の球団経営に進出。阪神のほか阪急、近鉄、南海など、関西ローカルの存在ながら名前は全国区になったものだ。

   ところが平成に入っていきなり、ともにプロ野球パ・リーグで優勝争いの常連チームだった阪急ブレーブスと南海ホークスが消滅。平成元年の1989年からそれぞれ経営がオリックスとダイエーに引き継がれた。そして平成半ばの16年(2004年)には、やはりパ・リーグの近鉄バファローズがオリックスと合併。近鉄も球団経営から手を引いた。

   だからといって関西私鉄のイメージが劣化したなどということでは、もちろんない。全国区からは退いたものの、地元での経営に専念しようということだ。

   関東の大手各社も地元での専心は同じだが、東京を中心とした首都圏では平成の時代、とくにオリンピックの開催が決まってからは、都市開発や宅地開発、商業施設展開が一層盛んになり、これらに絡んで重要な役割を果たすようになる。その結果、昭和の時代にはなかったような存在感を発揮。少なくとも関東ローカルレベルでは、プレゼンスは大いに高まったといえそうだ。

   「関東の私鉄格差」(河出書房新社)は、そうした関東私鉄の台頭ぶりに注目して出版された。著者の小佐野カゲトシさんは1978年生まれで、大学卒業後10年間ほど地方紙で記者を務めたのちに独立し、子どものころから関心を寄せていた鉄道を中心にウェブメディアや経済誌で執筆を続けている。

「世界の大都市のなかでもとくに鉄道網が発達している街、東京。都心部のみならず郊外やその周辺部にはりめぐらされたネットワークのなかで重要な役割を担っているのが大手私鉄各社だ」

   と、小佐野さんはいう。

   本書では、関東地方の大手私鉄とされる東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、相鉄(相模鉄道)の8社について、収入や利益などIR情報的なものから、駅売店、弱冷房車の設定温度、広告料金、スマートフォンの使い勝手などトリビア的なものまでの比較を網羅。「毎日利用する地元の路線と近くを走る別の鉄道会社の路線はどこが違うのか......」を楽しめる内容になっている。

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