2024年 4月 26日 (金)

【日韓経済戦争】泥沼へ 「日本人のトラウマ」サリンまで利用するのか! 韓国紙で読み解く

秀吉の侵略、植民地の反乱であおる文政権の幹部たち

   じつはその国民感情に、一番火に油を注いでいる存在が文在寅政権の幹部たちなのだ。豊臣秀吉の朝鮮侵略や日本の植民地時代の「反日運動」を引き合いに出す危険性を各メディアが指摘する。朝鮮日報(15日)の「社説:解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府」はこう苦言を呈する。

「韓国大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は米国から帰国の際、『1910年の国債補償運動を行った時のように、今こそ一つとなって危機を共に克服しなければならない』と述べた。文在寅大統領も先週、全羅南道庁で『全羅南道住民は李舜臣(イ・スンシン)将軍と共にわずか12隻の船で(日本から)国を守った』と述べた」
「韓日間の対立を念頭に、420年前の李舜臣将軍に言及するとはどういうことか。韓国大統領府のチョ・グク民政主席も東学農民革命を素材とした歌『竹槍歌』についてフェイスブックで言及した。外交対立の解決策を提示するのではなく、国民の反日感情に火をつけようとしているのだ」

   ちなみに、李舜臣将軍は秀吉の侵略(文禄・慶長の役)で朝鮮水軍を率いて日本軍と戦い活躍した「救国の英雄」だ。国債補償運動とは、植民地時代の韓国で、国民の自主的な募金活動によって、日本からの借金を返済し、経済的独立を守ろうとした一大国民運動だ。また、東学農民革命とは、李王朝に対して農民300万人が竹やりで蜂起、それを日本軍が鎮圧、数万人を虐殺したとされる反乱だ。いずれにしろ、日本が敵役の歴史的大事件である。それを、文在寅政権の要人たちが国民にアピールし始めたのだ。

日本のメディアにも注文する韓国紙

   韓国政府を批判する一方で、日本のメディアに対する、八つ当たり的な注文も散見される。中央日報(12日)「サリンガス・VX...嫌韓あおる日本メディアの『難癖祭り』」はこう報じている。

「日本の一部マスコミが相次いで韓国に難癖をつけ、そうでなくても冷え込んでいる韓日関係をますます悪化させている。フジテレビは今月10日、『韓国政府が、北朝鮮が金正男(キム・ジョンナム)を暗殺する時に使ったVX神経ガスの原料と核兵器開発に使うフッ化水素を密輸出した』とし「韓国が武器に転用できる戦略物資を密輸出した事例が4年間で156件に達する」と報じた。フジテレビが「単独入手」したかのように報じた根拠は、産業通商資源部が5月に国会に提出した資料だ」
「韓国政府が密輸出をあらかじめ摘発したものを『透明に』国際社会に公開した内容だ。摘発件数が多いという理由で問題を提起するなら、(摘発件数が最も多い)米国の制度を信頼できないということになる」
「これに先立ち、国営放送NHKは9日、『化学兵器のサリンなどに転用される可能性もあるにもかかわらず、一部の韓国企業が発注先の日本企業に急いで納入するよう迫ることが常態化していた』と報じた。だが、日本から輸入するエッチングガスは「高純度(99.999%)」だ。化学武器は「低純度(純度97%前後)」でも十分に作ることができる。高価で手に入りにくいうえ、輸出入通関も難しい高純度エッチングガスを化学武器づくりに使う理由がない」
「さらに大きな問題は、日本メディアの『難癖つけ』式報道を安倍首相や日本の高位官僚がそのまま反復再生産している点だ。事実(ファクト)に基づいた報道で両国が互いに資する最善の道を探さなければならない。フェイクニュースで嫌韓感情をあおっていては、良心ある日本人はもちろん国際社会からの信頼も得ることはできない。これはいらぬ難癖ではない」

   そのうえで、中央日報は日本メディアの論調を引きつつ、韓国側の「反省」すべき点も忘れない。16日付コラム「日本進歩メディアの毎日新聞も『輸出規制は文政府への不信表現』ではこう指摘する。

「むかしアメリカに『NO』と言える日本、いま韓国に『NO』と言える日本――。進歩的な色彩が強い毎日新聞のコラムがこのようなキーワードで整理した。同紙は「韓国の政権が代わるたびに『国民と寄り添う措置を』とか、『謝れ』とか言われ、また対応......という悪循環を断ちたい。韓国とは対等な主権国家同士、友好的かつ健全な関係を築く時」という日本政府高官の言葉を引用した」
「続いて、日本人の多くは文在寅政権に不信を抱いているとし、韓国との融和を急がず、不信を明確に伝え、関係を結び直す。その第一歩だとすれば、輸出規制には意味があるとした。また、今回の輸出規制措置の背景にある徴用裁判に対しては『日韓基本条約は無欠の合意ではない。紛争は後代の政治の知恵で超えよ――という含みがある』としながら両国間の協議を促した」
「やはり進歩志向の朝日新聞が実施した世論調査でも、今回の措置が『妥当だと思う』と回答したのは56%、『思わない』が21%だった。安倍内閣を支持しない層でも『妥当だと思う』が43%で、『思わない』の36%を上回った」

   安倍政権に批判的な日本国民も、今回の措置を支持する人が多いことを、率直に反省すべきだというのだ。

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