2024年 4月 19日 (金)

【日韓経済戦争】泥沼へ 「日本人のトラウマ」サリンまで利用するのか! 韓国紙で読み解く

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「狡猾な日本政府の陰にトランプ大統領がいる」

安倍晋三首相
安倍晋三首相

   こうした日本側の冷遇の狙いについて、中央日報(17日付)は「コラム:韓国は日本をあまりにも知らなすぎる」で、こう注意を呼びかけた。

「韓国実務団を冷遇する日本を見て、22年前の苦い記憶が脳裏に蘇った。通貨危機当時、筆者は東京特派員として、『日本の悪い癖を直す』と言った金泳三(キム・ヨンサム)政権のその後の悪影響を現地で目撃した。1997年11月、韓国の副首相が日本の大蔵大臣に会って緊急資金支援を要請したがけんもほろろに断られた。米国財務省がすでに大蔵省に『金を貸すな』と手を打っていた。大蔵大臣は『日本の単独支援は難しい』と繰り返すのみだった。先週末の日本の冷遇も米国との事前共感や最小限の黙認があったとみるべきだ」

   日本の冷たい仕打ちに背景に米国の暗黙の了解があるというのだ。そもそも、今回の日本の輸出規制の背景には、米国の経済戦略があると指摘するのは、朝鮮日報だ。10日付「輸出優遇除外:米国の沈黙は『計算づく』か」は、「日本の経済報復で韓国企業が不振に陥った場合、半導体で米国が『漁夫の利』を得る」としてこう書いている。

「日本の経済報復が拡大する兆しを見せる中、仲裁の鍵を握る米国の沈黙が長引いている。日本との事前のコンセンサス、自国の半導体産業への反射利益などを計算した『戦略的沈黙』ではないか。専門家は、韓国がトップの競争力を持つ半導体やディスプレーの供給が途絶えても、米国のIT産業に及ぶショックは大きくないだろうとみている。100%の代替が不可能な製品は最上位クラスに限定されるからだ。スーパーコンピューターやデータセンターに使われる高性能半導体、自動走行車両・スマートフォン用に開発された半導体くらいだ。残りは独自調達したり、中国企業から供給を受けたりできる。韓国半導体メーカーの不振は、米国企業にとっては福音となり得る」

   そして5月、6月の安倍首相とトランプ大統領との度重なる会談で、今回の措置に関する話し合いが行なわれた可能性が高く、トランプ大統領の了解もなく、安倍首相が日米韓の三国同盟にひびが入る強硬手段に出るなどあり得ないというわけだ。

NHKが火をつけた「サリン」「北朝鮮」騒動

   もう一つ韓国メディアが激昂しているのは、日本側が「韓国企業が北朝鮮にサリンの原料を流している」と非難していることだ。正確には、日本政府は何も言っていないが、一つの報道をきっかけに情報がメディア間をキャッチボールされ、雪だるまのように膨れ上がってしまった。きっかけを作ったのはNHKの9日夕方の「輸出規制 韓国から他国に原材料渡るリスクを懸念 日本政府」という「スクープ」だった。NHKはこう伝えた。

「政府が、韓国に対する輸出規制を厳しくした背景には、韓国側の貿易管理の体制が不十分で、このままでは化学兵器などにも転用される可能性がある物資が、韓国からほかの国に渡るリスクが排除できないという懸念があったことが、関係者への取材で分かりました。関係者によりますと、これらの原材料は化学兵器のサリンなどに転用される可能性もあるにもかかわらず、一部の韓国企業が発注先の日本企業に急いで納入するよう迫ることが常態化していたということです」

   この報道に関し、日本政府は一切コメントしていないが、翌10日には最も激しく日本を攻撃するハンギョレの見出しが踊りあがるありさまだ。「韓国に対する輸出規制の論理に『サリン』を持ち出した日本の狙いは? WTO協定違反の指摘を回避でき『オウム真理教トラウマ』刺激し世論に有利」

   ハンギョレは、オウム真理教の集会の写真を大々的に扱って、こう報道した。

「日本が、韓国への輸出規制の理由として、一部の物品が毒ガスのサリンに転用される恐れがあるという論理まで持ち出した。日本の世論をコントロールするために自国の人々の『サリン毒ガスフォビア(恐怖症)』と反北朝鮮世論を活用しているのではないかとの指摘が出ている。サリンは、1990年代にオウム真理教が大量に散布し多数の人命を殺傷した毒ガスとして有名だ。このために日本社会でサリンは極度の嫌悪を呼び起こす物質だ」
「安倍晋三首相は7日、(フジテレビで)『韓国は (北朝鮮に対して)ちゃんと貿易管理をしていると言っているが、徴用工問題について国際的な約束を守らない。貿易管理も守らないと思うのは当然だ』として、北朝鮮問題と今回の規制を連結するニュアンスの発言をした。これは、北朝鮮問題では事実上反論や批判が難しい日本の情緒を念頭に置いた布石と読み取れる」

   要するに、日本人の2大トラウマであるサリンと北朝鮮を結びつける安倍首相の巧妙な世論対策だというのだ。

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