2024年 4月 27日 (土)

小売り実店舗の逆襲! アマゾン、「フィジタル」に戸惑う?(気になるビジネス本)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   小売りばかりかエンターテインメントのサービスや、先端的なテクノロジーに至るまで、消費の世界の「覇権」を握った感があるアマゾン。本書「amazon『帝国』との共存」によれば、タイトルにあるとおり、そのプレゼンスは「帝国」に擬せられるほど強大化している。

   既存の小売り企業などは、その「帝国」の攻勢にたじたじとなって後退一方の印象なのだが、本書によれば、アマゾンが開拓したECのテクノロジーと、アマゾンが持たないアナログな実店舗を融合させるなど、したたかな新戦略でサバイバルの道を探っている。

「amazon『帝国』との共存」(ナタリー・バーグ、ミヤ・ナイツ著/成毛眞監修)フォレスト出版
  • アマゾン・ブックス、アマゾンゴーなどリアル化も怠ってはいない
    アマゾン・ブックス、アマゾンゴーなどリアル化も怠ってはいない
  • アマゾン・ブックス、アマゾンゴーなどリアル化も怠ってはいない

リアル化進めるアマゾン

   著者の2人は、欧米の小売業界でアマゾンをつぶさに観察し続けているアナリストら。原書は2019年1月に刊行された。アマゾンは日本でも大きな存在になっており、元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞さんが18年8月に『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)を上梓。その成毛さんが本書では監訳を務め、「監訳者まえがき」を寄せている。成毛さんの「まえがき」は、読書前のよいガイダンスだ。

   帝国化、巨艦化したアマゾンをめぐる最近の話題は、リアル書店のアマゾン・ブックスや、レジに人がいない無人コンビニ、アマゾンゴーなど実店舗オペレーションへの進出・拡大だ。これらと前後して米国では、高級スーパーチェーンの「ホールフーズ」を買収しており、アマゾンのオフライン展開の真意がさまざまに憶測された。

   一方で、これまでアマゾンの勢いに押しまくられてきたウォルマートなどリアル店舗の小売企業らは、オンラインで正面からアマゾンに対抗する路線からシフト。アマゾンとは逆に、オフラインの実店舗ネットワークとオンラインビジネスを融合させるビジネスに力を入れている。本書によれば「O2O(オー・ツー・オー)」と呼ばれるもので「オンライン・ツー・オフライン」という意味。EC事業で予想される大きな変化を象徴するキーワードだ。アマゾンのオフライン化は、この「O2O」の影響によるものらしい。

   ECが普及し始めたころから比べると、通信環境は格段に向上し、スマートフォンなど小型端末が広く普及。店舗で店員が小型端末を使い、商品などについて詳しく説明するサービスができるようになり、リアルなショッピングを楽しみたい消費者が回帰している。

   米国ではとくに店舗が広く商品を探し回らなければならない手間や、週末の買い物ではレジ待ちの長い列に並ばなくてはならなかったが、これらのことも、高速通信やモバイル機器が解消に貢献。各店ではWi-Hi、ブルートゥース、音声、動画、磁気センサー、AR(拡張現実)、3Dバーチャルなどあらゆるテクノロジーを駆使し、スマホやほかのモバイル機器で、商品を素早く見つけられるマッピングシステムを導入する小売施設も現れている。

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