株式投資には、数々の「アノマリー」が存在すると言われている。野村證券のホームページの説明によると、アノマリーとは「効率的市場の仮説では説明のつかない証券価格の変則性。明確な理論や根拠があるわけではないが、『当たっているかもしれない』とされる相場の経験則や事象のこと」とされる。アノマリーは、季節性のものや時間帯によるもの、政治イベントにまつわるものや、時価総額別でみた株式のパフォーマンスに関するもの、曜日ごとの値動きの傾向などの、さまざまな経験則が知られている。年末は株価が上がりやすいたとえば、10月末に株を買い、4月末に売るのと、4月末に株を買い、10月末に売るのとでは、前者のほうが利益を上げる可能性が高い、というアノマリーがある。では、具体的にどの月が株価は上がりやすく、どの月が下がりやすいのだろうか?米国の代表的な株価指数である、S&P500株価指数の1950年から2018年の価格推移をもとに、月ごとの値動きを検証してみた。【検証方法】ある月の最初の営業日の寄り付きで購入し、最終日の大引けで株式を売却したとして、その上昇率の平均値を月ごとに算出する。すべての月を合わせた平均データは、以下のようになった。それでは、何月に株式を購入すれば、株価が上昇しやすいのだろうか?平均株価上昇率が高かった、トップ3をピックアップしてみた。すると......。11月、12月、4月は株価が上昇しやすいという結果が得られた。どうやら、年末は株価が上昇しやすい傾向があるようだ。ところで、アノマリーの一つに、「ハロウィーン効果」と呼ばれるものがあり、10月末に株式を購入すると、上昇しやすいという経験則がある。その理由は、11月と12月は株価が上昇しやすいというデータから説明ができそうだ。それでは、逆に株価が下がりやすいのは何月だろうか?トレーダーも夏休み株価が下がりやすい月は、9月、8月、6月と、夏場に集中していることが明らかになった。では、なぜこれらの月は株価が下がりやすいのだろうか?はっきりとしたことは言えないが、欧米諸国は夏に長期休暇を取ることが多く、そのため機関投資家のトレーダーも休みを取るのかもしれない。彼らの大きな買い注文が株式相場に流入しないのか、いま一つ相場を押し上げるだけの力が働かないのだろうか。アノマリーといえば、どこかオカルト的に聞こえるのだろうか。そんなものは信じないよ、と言う人は少なくないだろう。しかし、われわれ一般投資家がはっきりと知ることはできないものの、株価を動かす力が大きいとされる大口の機関投資家の、彼ら自身の事情によって売買のタイミングに偏りが生じる、といったことはあるのかもしれない。実際、海外のヘッジファンドが決算を迎える際に、業績をよく見せるため「お化粧買い」と呼ばれる投資行動をとることがある。そういったものの類であろう。ヒトが株式を取引している以上は、彼らの事情で株式を購入したり、または売却したりすることがあるだろう。そうした経緯が、株式市場にランダムでない一定の法則性をもたらしているのではないだろうか。(ブラックスワン)
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