2021年 7月 31日 (土)

新型肺炎パニック!「経済はどうなる?」各シンクタンクの予想を読み解くと――

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景気の大減速覚悟で新型肺炎対策に必死の中国

   一方、中国国内の状況はどうだろうか。野村総合研究所(NRI)のレポート「新型肺炎対策と経済安定のジレンマに直面する中国当局:木内登英のGlobal Economy & Policy Insight」(2020年2月3日付)は、金融ITイノベーション事業本部エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が、こう分析している。

「2月3日には、世界が注目する中で中国本土の株式市場が再開された。上海総合指数は一時9%程度の大幅下落となった。他方、市場の安定を図る目的で、中国人民銀行(中央銀行)は前日に大量の資金供給策の実施を公表していた。それは1兆2000億元、円換算で18兆7000億円という異例の規模だ。例えば、2001年9月11日の米同時多発テロ事件発生の際には、FRB(米連邦準備制度理事会)は1104億ドル、円換算で13.1兆円の資金供給を実施した。米中の短期金融市場の規模の差を考えると、中国人民銀行による今回の資金供給がいかに大規模であったかが分かるだろう」

   企業の資金繰りを助ける措置としては、中国人民銀行による金融システムへの大量の資金供給や金利引下げといった措置以外にも、中国銀行保険監督管理委員会が、保険会社による保険金の早期支払い、新型肺炎による影響の大きい地域・業界・企業に対する金融面での優遇措置などを実施する方針を既に表明している。

   こうした新型肺炎対策は、心理的な影響を中心に中国金融市場の安定回復に寄与する面があるだろうが、景気刺激策としては、即効性には期待できないものばかりだと、木内登英氏は指摘するのだ。それはなぜか――。

「巨額の公共投資の拡大などを打ち出したほうが、より有効な経済及び市場対策となるだろう。しかし、それができないところに、新型肺炎対策の難しさがある。新型肺炎の拡大を受けて、中国国内では経済活動が政府によって大幅に制限されている。武漢市を中心とする湖北省に限らず、上海市や北京市などでも2月9日までは企業に休業を決定、もしくは要請している」
「当面、中国当局は経済の安定を犠牲にしてでも、新型肺炎の拡大を抑え込むことを優先せざるを得ない。仮に公共投資の積極化策などを打ち出せば、経済活動の制限を伴う新型肺炎対策と矛盾してしまう。そのため現状では、中国当局は金融面での対応に注力せざるを得ないのである」

   そして、最後に日本政府にこうアドバイスしている。

「ところで日本政府は、中国からの訪日観光客の激減による観光業への打撃を受け、支援策を検討している模様だ。そこには復興割制度(編集部注:災害を受けた観光地への旅行の割引助成)のように、国内観光客を観光地に呼び込む措置が含まれるのではないか。しかし、仮に国内で新型肺炎の感染者が拡大していく場合には、それを抑え込むための対策とこうした経済対策とは矛盾してしまう。中国当局が抱える新型肺炎対策と経済安定のジレンマという政策上の難しさについて、日本も学んでおく必要があるかもしれない」

   現地の中国人専門家の報告をもとに中国経済への打撃を分析しているのが、日本経済研究センターのレポート「中国の新型肺炎、経済への打撃は必至~現地研究者、「5%成長割り込む可能性も」:JCER 中国・アジアウォッチ」(2020年2月1日付)だ。その中で、湯浅健司首席研究員兼中国研究室長はポイントを、こうまとめている。

(1)中国の新型肺炎は経済に深刻な打撃を与えることは必至だ。直近で公表された現地のレポートによると、エコノミストらは流行が4月までに収束した場合でも、1~3月の成長率は2019年10~12月の6.0%を大きく下回り5%割れとなる可能性もあり、通年でも5%台の成長に止まるとみている。
(2)具体的には観光業や飲食業など減収規模が1兆元を超すほか、春節休暇が明けても豚肉など食料品の高騰が収まらないため物価が当面、高止まりする見通し。失業者の増大も懸念されるという。
(3)ただ、中国政府による景気テコ入れの余地は大きく、財政支出の拡大などにより「経済の底割れ」と言う最悪の事態は回避できる。そのため、財政赤字の拡大は一定程度、容認すべきとしている。
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