2024年 4月 29日 (月)

深刻化するコロナ禍 「緊急事態宣言」発令、企業はどこまで社会的責任を優先すべきなのか(大関暁夫)

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   新型コロナウイルス危機の拡大は、中小企業にも深刻な問題を提起しています。

   最大かつ喫緊の課題は、資金繰り。大手企業は潤沢な内部留保や取引金融機関とのクレジットライン契約により、数か月間に資金ショートするということはあまりないのかもしれませんが、中小企業は話が別。このあたりは前回も触れていることですが、ここに来てさらに追い討ち的に国から緊急事態宣言が出されるに至り、強制ではないものの「要請」という言葉の下に、中小企業も休業や従業員の出勤見合わせを検討せざるを得ない状況に迫られています。

  • 「非常事態宣言」に、社長はどう判断する!?
    「非常事態宣言」に、社長はどう判断する!?
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「緊急事態宣言」でも、結論は「自己判断」

   政府が「緊急事態宣言」を発令しても、なぜ強制ではないのかといえば、国家が休業、通勤停止を強制した場合、それに伴う損失発生に対して何らかの「補償」をする義務が生じるからです。

   国の考えが正しいか否かは別として、赤字財政が深刻化している我が国は補償金を大盤振る舞いできる状況にないのは確かなようです。

   では、「要請」とは何か。国として新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する観点から、特定事業の営業休止、あるいは可能な限り最大限の従業員の在宅勤務をお願いするものの、結論はあくまで各事業者の「自己判断」に委ねられる、ということです。

   この場合、経営者の一般論的な判断基準ですが、原則論で申し上げれば、企業は社会的責任を帯びた存在であり、社会的責任を全うして、はじめて自己の利益を享受できるという義務と権利の関係が存在します。

   自社の社会的存在意義をうたった経営理念の下ではじめて、経営ビジョンや経営戦略が存在するように、です。すなわち現時点において、原則論的には国の「要請」に従えば、「自己の売り上げが減る」あるいは「企業活動を停止せざるを得ない」といった事由を優先するよりも、感染を拡大させないために「営業を停止する」「原則全従業員を在宅勤務に切り替える」といった行動が優先されるべき、ということになるのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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