2020年 12月 5日 (土)

リモートワークがもたらす日本型経営の崩壊 とはいえ、欧米式も「疲れる」「馴染まず」でどうする?(小田切尚登)

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   新型コロナウイルスによってビジネスパーソンの生活は一変した。最大の変化は在宅勤務が増えたことだろう。

   これについては、メリットを指摘する声が多いようだ。いわく、通勤時間が不要になる、自分のペースで仕事ができる、人間関係で消耗することが減るなどだ。ひと言で、ワークライフバランスが改善するということだろう。一方、企業側からすると必要なオフィス・スペースが減少する、遠方の人を雇うことが可能になるといったメリットが見込める。

   しかしながら、このような目先のメリットはあるものの、この変化は長い目で見ると日本企業に取り返しのつかない問題を引き起こしてしまうリスクがあるのではないか――。日本企業が長年培ってきた経営スタイルが、遠隔勤務の導入により破壊する恐れがあるからだ。きょうはこの問題について少し掘り下げてみたい。

  • コロナ禍で日本でもリモートワークは珍しくなくなってきたけど……(写真はイメージ)
    コロナ禍で日本でもリモートワークは珍しくなくなってきたけど……(写真はイメージ)
  • コロナ禍で日本でもリモートワークは珍しくなくなってきたけど……(写真はイメージ)

米国で「我が社」と言うのはオーナーだけ

   日本企業は世界にもまれな独自の企業文化をはぐくんできた。会社とは単に従業員に仕事をする機会を与えるだけの存在ではなく、家族のような濃密な人間関係をベースとする共同体となった。

   従業員にとっては安定的な待遇を得ることができるし、会社としては親身に働いてくれる労働力を確保できる。

   わが国では、勤め先のことを「わが社」「うちの会社」などと呼ぶのが一般的である。これには会社に対するプライドと帰属意識が反映している。米国ではマイ・カンパニー(わが社)というのは一般的には株主(オーナー)が使う言葉だ。米国企業の株主総会でCEO(最高経営責任者つまり従業員のトップ)が株主に向かってユア・カンパニー(あなたの会社)と呼びかけるのは恒例行事である。

   多くの日本人は、たとえ末端の従業員であってもモノやサービスを親身に提供するために頑張る。カネのために働いているというよりも、お客が喜ぶような商品・サービスを届けたいという素直な気持ちがそこにある。会社のためには恥ずかしい仕事はできない、という意識も働く。

   自動車、カメラ、工作機械をはじめ、多くの分野で日本企業が世界のトップクラスの地位を維持してきた。その最大の要因は、日本製品の質の高さにある。世界中から「日本企業の製品ならば安心」という高い信頼性を勝ち取っている。これについては、個々の企業努力ももちろんだが、元を辿っていくと日本という国の文化や伝統というところに行きつく。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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