「人生100年」近距離モビリティの時代 「フレイル予防」は地域・社会とつながり続けること

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   近距離用のモビリティサービスを提供するWHILL株式会社(東京都品川区)は、シニア世代の心と身体の働きが弱くなる状態を指す「フレイル(虚弱、健康な状態と要介護状態の中間の状態)」予防のヒントをまとめたアイデア集「ソーシャル・エイジ向上アイデア」を、2020年10月12日に公開した。

   翌13日からは、代理店の一部で店頭販売も開始。最新モデル「WHILL Model C2」の活用で、シニア世代の外出や社会参加機会を増やし、社会的年齢を伸ばすことが狙い。フレイル予防の第一人者、東京大学の飯島勝矢教授の監修のもと、シニアの好奇心や行動力を維持し、人や社会とのつながりを広げることで、実年齢に関係なく社会的年齢(ソーシャル・エイジ)を伸ばす。

  • 東京大学の飯島勝矢教授は「家の外の多くの人やモノと触れ合いましょう」と説く
    東京大学の飯島勝矢教授は「家の外の多くの人やモノと触れ合いましょう」と説く
  • 東京大学の飯島勝矢教授は「家の外の多くの人やモノと触れ合いましょう」と説く

約7割のシニアが、外出頻度と社会機会が減少した

   新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、シニアの外出頻度や人との関わり合いが減少することによる、認知症の進行や生活不活発病の発症が懸念されている。

   WHILLが2020年8月に全国の65歳以上の男女を対象に実施した調査によると、34.8%がコロナ禍による外出自粛前後で「週5日以上の外出が減った」と回答。さらには観劇・映画を目的とする外出が86.7%も減少。友人・親戚宅訪問も76.1%減少するなど、緊急事態宣言後に社会参加の機会が減少していることがわかった。

   そうしたなか、コロナ禍で高齢者のイベントの相次ぐ中止や、罹患の心配から地域活動に参加できない状況が長期化している。高齢者が「引きこもる」原因の一つが、移動手段だ。

   65歳以上の男女600人に聞いたところ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年前に比べて、タクシーの利用が44.2%減、電車が40.9%減、バス39.0%減と公共交通機関の利用が約4割減った。とはいえ、代替となる移動手段の検討もなかなか難しく、それが結果的にシニア世代の約7割で「社会参加の機会」が減少していることにつながっている。

   なかでも、歩きづらさを感じている人に顕著で、外出機会や社会との関わり合い(屋外で同居家族以外の他人と接したり、趣味を行ったりする活動)の頻度の変化を聞いたところ、どちらも減ったという人は66.2%と約7割。歩きづらさを感じている人に聞くと、73.7%にのぼった。

   外出機会や社会との関わりの頻度のいずれかが減った人(427人)に、それらが減ったことの影響を聞くと、「身体に衰えを感じた」と答えた人が35.1%、「楽しいと感じること減った」が34.9%、「外出が億劫になった」が30.0%と、いずれも約3割の人がそう答えた。生活意欲が減退していることがうかがえる。

   調査によると、約7割が外出頻度と共に社会との関わりが減少。約6割の人が身体や社会と関わり合いへの自信がなくなると答えた。外出機会が減って、社会参加へのためらうことが日常生活でのポジティブ感情の低下となり、「負のスパイラル」を引き起こしている可能性がある。

歩行と組み合わせた「近距離モビリティ」という発想

外出機会を増やして活動することがフレイル予防につながる
外出機会を増やして活動することがフレイル予防につながる

   WHILLが「フレイル」予防のヒントをまとめたアイデア集「ソーシャル・エイジ向上アイデア」によると、「『誰かと・地域と・社会とつながり続ける』ことが、フレイル予防になる」(東京大学の飯島勝矢教授)という。

   寄せられたアイデアには、たとえば「毎シーズン見つけた発見を『かんたん俳句』で紹介!」や「『変化日記』をつけて街探検を楽しもう」、「テイクアウトで馴染みのお店を応援! お外で友達とワイワイ」「見守りボランティアでいつもの横断歩道を『あいさつ道路』に!」――などを提案している。

「ソーシャル・エイジ向上アイデア」の一例
「ソーシャル・エイジ向上アイデア」の一例

   外の空気を吸いながら家族や友人と共に食事をしたり、これまでの良い思い出にもう一度出会いに行ってみたり、人の役に立つことで生きがいを改めて見つけてみたり、「自分の身体が老いてきても、さまざまな手段を活用して、家の外の多くの人やモノと触れ合いましょう」と、飯島教授は説いている。

   また、WHILLの代表取締役兼CEO(経営最高責任者)杉江理氏は、

「WHILLは、歩行と組み合わせながら、社会との関わりを持つためにモビリティを活用するとの発想のもとに生まれた『近距離モビリティ』という新しい移動手段です。近距離モビリティでシニアの方々の行動範囲を広げることで、その人自身の可能性をも広げるものであると信じています」

と話す。

   小回りが利き、屋内外の移動もスムーズな近距離の移動アシストを上手に活用することで、シニアが外出しやすく日常生活の幅が広がり、新たな発見や出会いを後押しする。

   従来の、車いすのネガティブなイメージを一新するため、自動車ディーラーとECで販売する試みもユニークだ。

   なお、調査はネオマーケティングが運営するアイリサーチで、全国の65歳以上の男女および、歩きづらさを感じている親を持つ30代~50代の男女を対象に、2020年8月3日~6日に実施。有効回答数は、65歳以上男女600人(平均年齢74.2歳)と歩きづらさを感じている親を持つ30代~50代男女300人(平均44.9歳、男性149人、女性151人)。

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