2024年 4月 18日 (木)

【新春対談】社員が幸福な会社は強い会社になれる! カルビーがモバイルワーク定着のために取り組んだこと(1)

   「社員の幸福度で会社の業績が変わる」――。「しあわせ経営」と呼ばれる、こうした考え方が企業で注目されるようになってきた。

   その一つ、カルビー株式会社では、社員にとってより柔軟で働きやすい仕組みづくりを求めて、2020年7月に新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえたニューノーマルな働き方を掲げ、モバイルワークの標準化やフルフレックスタイムの導入、単身赴任の解除などを実施。柔軟な働き方を導入した。

   幸福学研究の第一人者である慶応義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授と、カルビーの人事・総務を担当する武田雅子常務執行役員(CHRO 人事総務本部長)に、幸せな経営や新たな働き方について、語ってもらった。

  • カルビーはいち早く「しあわせ経営」を取り入れた(写真は、カルビーの武田雅子常務と慶応義塾大学大学院の前野隆司教授)
    カルビーはいち早く「しあわせ経営」を取り入れた(写真は、カルビーの武田雅子常務と慶応義塾大学大学院の前野隆司教授)
  • カルビーはいち早く「しあわせ経営」を取り入れた(写真は、カルビーの武田雅子常務と慶応義塾大学大学院の前野隆司教授)

「ものづくり」は人を幸せにするためにある

―― 前野教授は「幸福学」について研究されていますが、「幸福学」とは、どのような学問なのでしょう。

前野教授は「幸せな経営とは、どういうものかを研究する」と話す。
前野教授は「幸せな経営とは、どういうものかを研究する」と話す。
前野隆司さん「『幸福学』とは文字どおり、幸せについての学問です。基礎学問から応用学を含めた、いわゆる『ウェルビーイング』※(well-being)の研究ともいえます。もともと、1980年代くらいから心理学者を中心に『ヒトはどうしたら幸せになるのか』といった研究はありました。『感謝すると幸せになる』『自己肯定感が高いと幸せになる』とか、いろんな研究が世界中で行われていたんですね。
私は、エンジニア出身でロボットの研究をしていましたので、いわゆる『ものづくり』に関わってきたのですが、なんのための『ものづくり』か、と考えたときに、結局は『人が幸せになるため』というところに行きついたんです。そこで、心理学の『ヒトはどうしたら幸せになるか』で、わかったものに対してエビデンスやデータを使って、では幸せな経営がどういったものか、幸せな食品、幸せな家、幸せな街、幸せな教育とはなにかといった応用分野を10年ほど前から研究しはじめました」

   ※ well-being=人が精神的・身体的・社会的に『良い在り方』『良い状態』であること

―― その中で「しあわせ経営」という分野が最近、企業に注目されていますね。そこでの発見はどのようなものだったのでしょうか。

前野さん「ひとつには、『幸せな人は、不幸せな人より生産性が1.3倍高い』というアメリカの研究結果があります。もう一つは、『幸せな社員は、不幸せな社員より創造性が3倍高い』という結果です。つまり、3倍もアイデアが沸いて、新規事業とか新しいポテトチップスの構想をドンドン思い付くっていうことです。それから、幸せな社員は心の病になりにくく、欠勤率も低い。『辞めたくなってしまう』離職率も低いんですよ。ほかにも『幸せな社員は出世する』『幸せな社員はマジメである』などの良い結果がわかってきました。つまり、幸せな社員がいる会社が成功する。なので、まずは社員を幸せにしましょうということです。カルビーさんも、特に昨年(2020年)から社員の幸せにつながるようなさまざまな働きやすさの施策を打ち出していますよね」
武田雅子さん「働き方改革といわれていますが、積極的に改革したというよりは、最初のきっかけは新型コロナウィルスの感染拡大でやむを得ず始めたことでした。緊急事態宣言を受けて、自宅で働かざるをえない状況になって、慣れていない中で、それぞれの社員がパソコン(PC)スキルの習得やリモート環境での仕事の仕方を模索してきました。自宅で仕事をしながら、お子さんの送り迎えや通院などプライベートな用事と両立し、生産性を確保してアウトプットを出せるということがわかってきました。
そこで(2020年)7月、『Calbee New Workstyle』を掲げて、オフィス勤務者は原則モバイルワークにし、フレックス勤務のコアタイムを廃止する方向に舵を切りました。通勤の定期代は廃止し、業務に支障がない場合は単身赴任も解除できることにしました」
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中