2024年 4月 26日 (金)

コロナ禍のマスクがマストアイテムな理由 第一線の研究者が「的確な選び方」を伝授

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   新型コロナウイルスの感染拡大が取り沙汰されるようになった当初の2020年3月ごろ、、マスクの着用率は低かった。

   それが今ではほぼマストアイテムとなり、そのことが欧米に比べて感染が抑えられた要因の一つとされている。

   感染症対策としてマスクが有効なことは広く認知されたようだが、コロナ禍が長引きマスクが必需品化するなか、材質の違いで効果に差があるとの議論が起きるなど、改めてマスクに対する注目が高まっている。そんなとき、「マスク選びの一助に」と出版されたのが本書「感染症時代のマスクの教科書 的確に選んで、正しくつける」だ。

「感染症時代のマスクの教科書 的確に選んで、正しくつける」(飯田裕貴子著、眞鍋葉子著)小学館
  • コロナ禍で、マスクは外出のマストアイテムに
    コロナ禍で、マスクは外出のマストアイテムに
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マスクの専門家と内科医の共著

   著者の一人、飯田裕貴子さんはマスク研究家の第一人者とされる。労働衛生工学が専門で、環境の調査や分析、コンサルティングを行う企業で、アスベストなどの粉じん対策で使用する呼吸用保護具研究に携わった。

   もう一人の眞鍋葉子さんは内科医。2011年、東京大学医学部附属病院、東京都健康長寿医療センターを経て、現在は都内のクリニックに勤務。最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月7日、SNSで「コロナ感染から身を守る方法」という文章をまとめて公開して以来、情報発信を続けている。本書の冒頭には、眞鍋さんの「コロナ感染から身を守る方法」をイメージした矢部太郎さんのマンガが添えられている。

   本書では、眞鍋さんが新型コロナウイルスによる感染症について詳しく解説し、予防のために毎日の生活の中で、どう行動していけばよいのかをアドバイス。ウイルスの特性から、ウィズコロナの中ではマスクが欠かせないものであることを述べる。

   この眞鍋さんのコロナ禍の環境解説をうけ、飯田さんがマスクの基本から応用までを解説する構成だ。

一人ひとりできることがマスク着用

   新型コロナウイルスが、ある人からほかの人にうつるときは、鼻水や唾液などの液体(飛沫)に混ざって体外に飛び出す。「飛沫にはウイルスが含まれている場合も、含まれていない場合もある。現在の状況では、ウイルスが含まれていると『みなして』対策することがポイント。新型コロナウイルスのでは、無症状の感染者からも感染が広がるので『この人は無症状だから大丈夫』『私は無症状だから感染していない』と思わないようにする必要がある」と眞鍋さんはいう。

   飛沫中の新型コロナウイルスは付着した物質により残存期間が異なり、現在受け入れられているデータでは、紙やティッシュペーパーで3時間、ダンボールで24時間、木材や布は2日、ガラスや紙幣は4日――。間違ってウイルスを取り込まないよう、さまざまなところを触った手で口や鼻にふれないようにすることを心がける。外出時に「周りのものは『数日で消えるペンキ』で塗りたて」とイメージするとよいそうだ。 ウイルスを含む可能性がある飛沫を人に向けない、人から受けない、また街のペンキを減らすために一人ひとりができることがマスクの着用だ。

   眞鍋さんはこう述べる。

「ペンキが飛び散らないためには、ペンキを出す人がマスクをしていることが大切です。AさんとBさんが互いに近くに立っている場合、BさんのペンキスプレーからAさんを守るために、Bさんはマスクをしましょう。AさんのペンキスプレーからBさんを守るために、Aさんもマスクをしましょう。このようにして、街の人々がお互いを守り合うことで、街全体のペンキの量を大きく減らすことができるのです」

「防御性能」「飛散防止力」を評価

   マスク専門家の飯田さんは、新型コロナウイルスの感染症拡大防止でマスクが欠かせない別の理由を、国際学術誌「Nature Medicine(ネイチャーメディシン)」を引用して、こう説明する。

   「季節性インフルエンザの場合は、感染の症状が現れる2日前からウイルスの排出が始まり、人への感染症のピークは症状が現れた後。しかし、新型コロナウイルス感染症は、症状が現れる2日以上前からウイルスの排出が始まる。発症前に感染症のピークがあることが特徴的」。つまり「症状が現れてからマスクを着けるのでは、周囲にウイルスをまき散らしてしまう可能性がある」のだ。

   日本ではかなり以前から人々がマスクを着けることに慣れていると思われるが、2003年のSARSの流行で「慣れ」の度合いはさらに進んだ。花粉症やインフルエンザ対策としてもマスクは有効と目されるようになっているが、じつは、一般市場で使用されている不織布や布のマスクを着用する効果についてはあまり検証されずにきていたという。

   感染症のピークが発症前にくるコロナ感染症を抑え込むのは、いわば見えない敵との戦い。「ユニバーサルマスク(無症状の人も含めてマスクを着用すること)」が有効と考えられるが、効果の程度が分からなければその推進は難しい。そこで感染予防のためにマスクの効果検証が必要になり、スーパーコンピューターを用いたシミュレーションも実施された。

   飯田さんによると、マスクの役割は大きくふたつ。「環境中に浮遊している小さなホコリ(アスベスト、カビ、ウイルスなど)を吸い込まないようにすること(割合を減らすこと)」(防御性能)と「自分が呼吸器にウイルスをもっているときに周囲にまき散らさないようにすること」(飛散防止力)。この両方の役割を果たせるマスクが「性能として良いマスク」だ。

   具体的に、どんなマスクを選んだらよいのか――。本書では、規格や使用目的など代表的な6つのマスクを例に説明。「今回あげたのは、これまで実験を行ったきた中でも良いマスクだな、信頼できるマスクだなと感じたものばかり」と飯田さん。「防御性能」「飛散防止力」のほか「肌触り」「1枚あたりの価格」―の4つの項目について、被験者5人で評価した。防御性能、飛散防止力、肌触りについては、レーダーチャートにして表示。総合的な評価もひと目でわかるようになっている。

「感染症時代のマスクの教科書 的確に選んで、正しくつける」
飯田裕貴子著、眞鍋葉子著
小学館
1300円(税別)

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