2024年 4月 27日 (土)

「島根の乱」丸山知事の豹変に「結局カネ欲しさのパフォーマンス」と怒り 何があった?(1)

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   「聖火リレーを中止する」東京五輪・パラリンピックの開催に公然と反旗を翻した島根県の丸山達也知事(51)。「島根の乱」という言葉まで生まれ、全国に共感のエールが広がっていたが、2021年4月6日、その丸山知事が突然、豹変した。

   東京五輪組織委員会に「詫び」を入れて、聖火リレーをやると発表した。いちおう条件らしきものも要望したが、受け入れられなくもやるという。全面屈服の屈辱だ。

   いったい何があったのか――。

  • 突然の手のひら返しでガッカリさせた丸山達也・島根県知事(公式サイトより)
    突然の手のひら返しでガッカリさせた丸山達也・島根県知事(公式サイトより)
  • 突然の手のひら返しでガッカリさせた丸山達也・島根県知事(公式サイトより)

公式キャラ「まるやまくん」が泣く手のひら返し

   地元メディアにとっても、丸山達也・島根県知事(51)の豹変は寝耳に水だったようだ。

   丸山知事が突然上京して、東京五輪組織委員会に「詫びを入れた」のは2021年4月6日だが、山陰中央新報の翌日の紙面(4月7日付電子版)は、「『本人』は全国区になったのに... 島根県公式キャラ『まるやまくん』の今」という見出しのまことにタイミングの悪い特集記事を掲載した。

   中身は、東京五輪開催に異議を唱えた「島根の乱」で丸山知事本人が「全国区の大人気者になったのに、丸山知事をモデルにした島根県公式キャラ『まるやまくん』は未だに活躍の場がない」という話なのだ。

   山陰中央新報が、冒頭からこう報じている。

「東京五輪の聖火リレー中止の検討を表明したことが国内の各主要メディアに取り上げられ、今や全国区の知名度となった島根県の丸山達也知事。じつは、この丸山知事をモチーフにしたキャラクターが存在する。県が有名クリエイターに依頼して制作した『まるやまくん』という公式キャラがいるのだが、県外在住者はもちろん、県民でも見たことがある人は少ない。知事本人が注目を浴びる一方で、なぜ公式キャラがまったく日の目を浴びないのか。探ってみた」

   2019年4月の県知事選で、歴代最年少の49歳で初当選した丸山知事だが、地味な存在のため、発信力で隣の鳥取県の平井伸治知事に大きく後れをとっていた。鳥取県の平井知事は「スタバはないけどスナバはある」「カネはないけどカニはいる」といった駄ジャレでたびたびメディア出演している。一方、島根県の露出といえば、バラエティー番組で「どっちが島根でどっちが鳥取か」といった食傷ぎみな話のタネにされる程度で、発信力の差は歴然だった。

   山陰中央新報が続ける。

「そこで、丸山知事の厳命を受けた県広報広聴課が考えて生まれたのが『まるやまくん』だった=下図参照。紺色のスーツに青いネクタイを身につけ、温和な表情を浮かべた3頭身ほどのキャラ。2019年11月、2種類のポーズ絵が発表された。モデルとなった丸山知事は『可愛くはないが、活用していきたい』と自嘲気味に話した。デザインを担当したのは、人気アニメ『秘密結社 鷹(たか)の爪』の生みの親のFROGMAN(フロッグマン)こと小野亮さん。県に住んでいた縁で、島根のPRに貢献してきた。島根にはもったいないほどのビッグネームなうえに、制作費は小野さんの厚意で無償だったというから驚きだ」
丸山知事のキャラクター「まるやまくん」(島根県公式サイトより)
丸山知事のキャラクター「まるやまくん」(島根県公式サイトより)

   しかし、お披露目から1か月ほどのあいだに広報誌や新聞広告に登場した程度で、ずっと「休務」が続いている。「政治的な売名行為ではないか」という批判の声が県民の一部から上がったからだという。さらに、県外での観光PRや移住促進イベントなどでの使用を想定していたが、新型コロナの感染拡大でそうした機会がなくなった。

   山陰中央新報がこう結んでいる。

「丸山知事本人の知名度は格段に上がっている。『まるやまくん』の使用の再開や関連グッズの制作など、運用方法を再考する考えはないのだろうか。グッズに関しては、丸山知事は『厳しい財政状況で自分のキャラにお金を掛けることはしない』と話している。ただ、今の『まるやまくん』なら間違いなく県のPRに絶大な効果を発揮するだろう。制作者の小野さんの善意に応えられていない現状もとてももったいない。再起を誓う『まるやまくん』が掲げた右手の行き場、いつ見つかるのか...」

と、山陰中央新報はとても残念がっている。

   しかし、この記事は二重の意味で皮肉だ。一つは、丸山知事の人気がまさに凋落した日に掲載したタイミングの悪さだが、もう一つは、丸山知事がこのキャラクターを使いたがらなかった理由が「売名行為」という批判だったこと。そして、今回、丸山知事が聖火リレーを行うことを表明したことで、「あの五輪批判のパフォーマンスは売名行為だったのか」という批判が今、起こっているからだ。

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