ソニーが純利益1兆円「複合企業」で稼ぐ力アップ 今後の主力は「娯楽」M&Aにも前のめり

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   ソニーが純利益1兆円企業の仲間入りを果たした。1946年の創業以来初めてで、「1兆円」は過去1年(2020年3月~21年2月決算期)では世界で28社、日本企業では他にトヨタ自動車だけ。さらに過去にさかのぼっても、日本勢では6社目というから「偉業」といえる。

   祖業の家電(電機)の影が薄くなって久しいが、ゲーム、音楽配信、金融など「複合企業」の強みを発揮した。

  • ソニー、巣ごもり需要でゲームが好調だった(写真はイメージ)
    ソニー、巣ごもり需要でゲームが好調だった(写真はイメージ)
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ゲーム好調、「巣ごもり需要」取り込む

   2021年3月期連結決算(2021年4月28日の発表)は、売上高が前期比9.0%増の8兆9993億円、本業のもうけを示す営業利益は同15.0%増の9718億円。そして純利益が前期のほぼ2倍の1兆1717億円と、いずれも過去最高になった。

   純利益については、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当初は5100億円(前期比12%減)を見込んだが、上半期を終えて2020年10月末に8000億円(同37%増)と増益予想に転じ、年が明けて21年2月初めには1兆円を超えるとの見通しを示す――というように上方修正を繰り返した。

   好業績の要因は、まずコロナ禍の「巣ごもり需要」。なかでも、ゲーム事業は売上高が34.3%増の2兆6562億円、全社の営業利益の3分の1を稼ぎ出し、全体をけん引した。PS4(プレイステーション4)から約7年ぶりの新型機として20年11月に売り出したPS5は販売台数がから21年3月末までに780万台と、目標を20万台上回り、ゲームソフトの販売も好調。PSで定額料金を支払ってくれる会員は、3月末時点までの1年間で610万人増えて4760万人になった。

   音楽事業もストリーミング配信の好調などで売上高は10.6%増の9398億円に伸び、映画事業は子会社が制作や配信に関わった「鬼滅の刃」の大ヒットによる関連収入という追い風も吹いた。

   電機事業では、テレビやデジタルカメラなどの高級品がよく売れた。65%の株式を保有していたソニーフィナンシャルホールディングスを2020年夏に4000億円を投じたTOB(株式公開買い付け)で非上場化、100%子会社化したことにより、金融事業の利益貢献もアップした。

   カメラに使う画像センサーが世界で5割のシェアを握る半導体事業だけは、大口納入先の中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)のスマートフォン向けが、米中対立のあおりで停滞し、営業減益になった。

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