2024年 4月 19日 (金)

地域には、こんないいネタが転がっていた! 【朝礼のネタ本はこれだ!】

ごみリサイクル率日本一の鹿児島・大崎町

   鹿児島県大崎町はごみのリサイクル率が82.0%と12年連続で日本一となった町だ。かつてはごみ焼却場がなく、埋め立て処分場に何でも捨てていた。その処分場が2004年の満杯予定まで持たないことがわかり、延命のため、1998年から瓶、缶、ペットボトルの3品目から分別を始めた。

   多品目の分別を進めるにあたり、細かな品目は、月に一度の資源ごみ回収日に、集落ごとに収集場に持ち寄り、話し合いながら分ける「共同分別方式」にした。

   分別品目は現在、27にまで増えているという。住民たちは月に一度の資源ごみ回収を楽しみにしている人もいるそうだ。

   分別のカギを握っているのは、ごみの6割を占める生ごみだった。堆肥化のための有機工場も作り、発酵させ、完熟堆肥にしている。菜の花を栽培し、菜種油は使った後で回収し、軽油代替燃料のBDF(バイオディーゼル)にし、ごみ収集車で使うというシステムが完成した。

   分別されたごみの売却益は年間約800万円。埋め立て処分場も40~50年分延命した。また、町役場はリサイクルシステムの「輸出」を始めた。インドネシアの自治体の分別リサイクルを支援している。

   このほかに、「借金の町」をキッズパワーで元気にする青森県大鰐町、原発事故をアルコールツーリズムで乗り越える福島県二本松市(旧東和町)、日本最強の海女集団がいる石川県輪島市海士町、関西最大のアマゴ養殖場を集落が経営する奈良県野迫川村など、各地の「いい話」が印象に残った。

   政府が打ち出す「地方創生」の施策は成功しているとは言えない。もともとあったものを人々の知恵と努力で生かしている例が本書に多いと思った。そんな地域の成功例は、企業でも参考になるのではないだろうか。

   誰でも朝礼でスピーチできる職場だったら、そんなアイデアを話してみてはどうだろうか。正規のプロジェクトだと根回しに時間がかかるし、発議者も限定される。朝礼なら言った者勝ちだ。つまらない朝礼の場が一転する可能性もある。そんなことまで空想させるパワーあふれる一冊だ。

  「47都道府県の底力がわかる事典」
  葉上太郎著
  文藝春秋
  1320円(税込)

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