2021年 8月 4日 (水)

【6月は環境月間】丸太がそのままバイオマスのエネルギープラントに運ばれている!

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   6月は環境月間だ。環境を保全するためにどうしたらいいのか。最近、よく耳にする「SDGs」(持続可能な開発目標)とは何なのか? 6月は環境に関する本を紹介しよう。

   輸入木材の高騰「ウッドショック」が、国内の住宅産業を直撃している。コロナ禍で米国では在宅勤務が増え、住宅建設やリフォームが進んだことから、製材価格が3倍以上に上昇した。日本でも輸入木材の価格が上がり、住宅価格の上昇で受注を断念する事業者が出始めたという。

   日本には森林がたくさんあるではないか、と思うだろうが、国内の林業従事者が減り、製材のサプライチェーンも貧弱となり、急には供給量を増やせない事情もあるようだ。なぜ、こうした「宝の持ち腐れ」が進んだのか。 本書「森林で日本は蘇る」は、その背景に迫り、「林業の瓦解を食い止めよ」と提言している。

「森林で日本は蘇る」(白井裕子著)新潮社
  • 日本の森林は「宝の持ち腐れ」の状態に……
    日本の森林は「宝の持ち腐れ」の状態に……
  • 日本の森林は「宝の持ち腐れ」の状態に……

高い木が売れなくなった

   著者の白井裕子さんは、慶応義塾大学准教授。早稲田大学理工学部建築学科卒。ドイツ・バウハウス大学に留学。早稲田大学大学院修士課程修了。工学博士で一級建築士でもある。著書に「森林の崩壊」がある。

   日本の森林は多様性、豊かさともに世界がうらやむような資源だという。しかし、全国一律の補助金でコントロールする発想、素晴らしい伝統木造をないがしろにする制度、合理性に欠ける木材を利用したバイオマス発電推進など、国はその活かし方を理解できていない、と批判する。

   製材について詳しく書いている。森林の木は加工されて初めて木材資源になる。丸太は品質によってA、B、C、D材と4つに分けられる。A材は製材に、B材は集成材やそれに似たCLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)、合板の材料に、C材はチップ用、D材はその残りで、今なら再生可能エネルギーの燃料用になる。

   価格はA材が一番高く、順に価格が下がる。2019年現在、総需要に占めるパルプ・チップ用材の割合は37.9%で、製材用材の30.9%を上回る。

   白井さんは「今の日本林業の問題はA材が売れないことである」と書いている。A材を求める木造が規制等で建築が難しい状態が続き、それを挽いていた中小の製材所が激減した。1960年に全国に製材工場は2万4229あったが、2019年には4382と、約5分の1にまで減った。

   山村にあった数少ない産業だった製材所が減り、過疎化に拍車がかかった。だが、国は大規模集約化を進めてきた。住宅の工業製品化が、その背景にある。

   白井さんが懸念するのは「本来A材として売るべき丸太も、B材として売らざるを得ない状況が発生している」ことだ。さらにB材をC材で、C材をD材で、と値段が下がり、用材になるはずだった丸太が、そのままバイオマスのエネルギープラントに流れ出ているという。

   「建築用材をエネルギー利用に回したらお金にならないだろう」と思うが、補助金のマジックがそれを可能にしている。山から木を伐り出す仕事に補助金が下り、売る際にはエネルギーの固定価格買取制度(FIT)により、バイオマス発電から得られる電力も対象になる。「1年に7000万円の補助金をもらい、伐った木の多くをバイオマスのプラントに運んでいる」という山林所有者の話を紹介している。「これでは補助金を使った資源の切り売りに近い」と憤慨し、こう書いている。

「バイオマスに使う木は粉々にするのだから、質は問わず、取引価格は安い。バイオマス利用だけでは、再造林などあり得ない。どこの木を、どう伐り出そうと、コストが安いのが一番。このような価格帯の低い木ばかりの流通量が増えれば、木材価格全体が下がり始める。さらに立木を植えて育てて収穫する技能まで損なわれ、国土保全も覚束なくなる」
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