2021年 9月 18日 (土)

世界中に変異ウイルスの脅威 「五輪で世界を一つに」この期に及んで... バッハ会長の驚くべき発言(井津川倫子)

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   新型コロナウイルスの再拡大が続く東京都では、2021年7月12日から8月22日まで4回目の緊急事態宣言が発出されることになりました。これで2週間後に迫った東京五輪・パラリンピックは、緊急事態宣言下での開催が確実に。一方、世界各国ではデルタ株の感染が爆発的に広がり始めるなど、コロナとの新しい戦いが幕を開けようとしています。

   世界的な「非常時」での五輪強行。IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は「五輪こそが世界を一つにする平和的なイベントだ」と自信たっぷりな態度を崩しません。果たして、五輪にそこまでの神通力が残っているのでしょうか?

  • バッハ会長は「五輪だけが世界を一つにできる」と自画自賛
    バッハ会長は「五輪だけが世界を一つにできる」と自画自賛
  • バッハ会長は「五輪だけが世界を一つにできる」と自画自賛

東京に緊急事態宣言! それでもバッハ会長は「動じない」

   それにしても、急な展開でした。東京五輪を控え、開催地の東京都では「まん延防止措置の延長」から、ふたを開けてみたら40日間の緊急事態宣言に。まさかの「緊急事態宣言下のオリンピック開催」が現実となってしまいました。

   この異常事態を、海外メディアもこぞって取り上げました。

Olympics likely to open during 'state of emergency' due to surging cases in Tokyo
(東京オリンピックは、東京都での感染拡大を受けて「緊急事態」下での開催となりそうだ:AP通信)
state of emergency:緊急事態

   「state of emergency」(緊急事態)の意味を改めておさらいしてみると、「災害や、戦争、テロ、内乱など、健康・生命・財産・環境などに危険が差し迫っている有事・非常時」とのこと。東京だけでも4度目の「緊急事態宣言」にすっかり慣れてしまった私たちですが、本来は「非常時」であり、のん気にスポーツ大会を開催したり、各国から何万人も入国させたりしている状況ではないはずです。

   米紙ロサンゼルス・タイムズは、「東京の感染状況が悪化するなかで、緊急事態宣言の再発出に驚きはない」としつつ、「五輪は中止になるのか?」と報じています。

Will the Olympics be canceled due to Japanese state of emergency
(日本の緊急事態宣言でオリンピックは中止になるのか?:ロサンゼルス・タイムズ紙)

   記事では、開催地に緊急事態宣言が発出されても、IOCのバッハ会長は「unfazed」(動じない、臆さない)とバッサリ。IOCは巨額の放映料のためだけに「五輪開催を強行」しており、すでに巨額の準備費用を負担している日本の組織委員会も「eager to push ahead」(どんどん突き進みたい)と報じています。

   巨額の放映料を支払っている米テレビ局NBCは、プライムタイムに陸上や体操といった米国の人気競技の放映時間を確保。すでに大々的な宣伝活動を展開して、国民感情を盛り上げているとのことです。

   こうした状況に、ロサンゼルス・タイムズ紙は「巨額放映料と準備費用のため、東京五輪は非常時でも中止されない」と皮肉たっぷりに伝えています。人の命よりもお金という「五輪を取り巻く世界」が浮き彫りになっています。

バッハ会長は「五輪だけが世界を一つにできる」と自画自賛

   非常時での五輪開催に批判や不安の声が高まるなか、予定どおり来日したバッハ会長。来日直前に国連人権理事会に寄せたビデオメッセージでは、「(東京五輪で)アスリートたちが平和と連帯の強いメッセージを世界に発信する」と、五輪が果たす役割について期待を示しました。

The Olympic Games are the only event that unites the entire world in peaceful competition
(オリンピックは平和的に世界を一つにできる唯一のイベントだ:AFP)

   バッハ会長は、「Keep politics out of the Games」(五輪から政治を排除せよ)とも発言。世界中の人々が新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動がもたらす災害、内戦や差別、テロといった、ありとあらゆる脅威にさらされている中で、「五輪だけが人々の心を一つにできる」「政治色はない」と自信たっぷりに宣言しているのです。

   ロサンゼルス・タイムズ紙が指摘しているように、IOCにとっては「お金」が五輪強行の「モチベーション」かもしれませんが、日本政府や各国政府がこれほど「五輪を特別扱い」する姿に、「政治的利用」が透けて見えています。

   「平和」からすっかり遠ざかってしまったような五輪。バッハ会長のメッセージが空回りしているように感じます。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、緊急事態宣言に関連した表現をご紹介しましょう。

state of emergency:緊急事態

declare a new state of emergency
緊急事態を宣言する

quasi-state of emergency:まん延防止等重点措置
「quasi」
「類似の」「疑似」という意味の単語です。

   世界中の人々が、五輪を取り巻く「お金」と「政治」に気づいてしまった今、人々を新型コロナ感染拡大の危険にさらしてまでも強行される五輪に「平和」を見いだすことができるのか。開催が近づくにつれて「五輪こそが非常事態」の様相を帯びているようです。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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