2024年 4月 23日 (火)

増え続ける「コロナ解雇」 統計では見えない実態「はるかに悪化している」可能性(鷲尾香一)

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   新型コロナウイルスの感染拡大が雇用へ与えた影響は、ついに解雇者(見込みを含む)で10万人を突破し、11万人に達した。雇用調整の可能性がある事業所数も13万を超えた。

   厚生労働省は、総務省の「労働力調査」が公表されるまでに、コロナ禍が雇用に与えている影響の傾向を把握するための一助として、よりタイムリーに情報を把握するため、2020年5月から1週間ごとに「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」を発表している。

  • コロナ禍による解雇者は統計をはるかに上回っている……(写真はイメージ)
    コロナ禍による解雇者は統計をはるかに上回っている……(写真はイメージ)
  • コロナ禍による解雇者は統計をはるかに上回っている……(写真はイメージ)

「コロナ解雇」7月9日時点で11万人を突破!

   新型コロナウイルスの感染拡大による解雇者(見込みを含む)の推移を見てみる。コロナ禍が雇用に影響を与え始めた2020年5月の解雇者は1万6723人だった。翌6月26日には2万8173人。以降、7月31日に4万1391人、9月25日が6万923人、11月27日7万4055人、2021年1月29日8万4773人、2月26日9万185人、4月23日10万2153人と増加を続け、7月9日にはついに11万326人と、11万人を突破した。

   解雇者のうち非正規雇用者は、20年5月29日に2366人だったが、7月31日には1万人を突破。8月28日には2万人を超え、10月30日に3万人、21年1月29日に4万人、6月25日に5万人を超え、7月9日には5万1167人にまで拡大した。

   雇用調整の可能性がある事業所は、都道府県労働局及びハローワークに対して休業に関する相談のあった事業所だが、20年5月29日には3万214所だったが、6月26日には4万所を超え、7月31日に7万所、8月28日に8万所、9月25日に9万所、10月30日に11万所、12月25日に12万所、21年6月25日に13万所を突破し、7月9日には13万1144所にまで拡大した=表1参照

解雇者は右肩上がり......(表は筆者作成)
解雇者は右肩上がり......(表は筆者作成)

   これまでの動向を見る限り、事業所から相談が20年6月から急増したことがわかる。これは政府による1回目の緊急事態宣言が出された後、事業所側の雇用環境が急速に悪化したことが見て取れる。その後、事業所の相談は20年10月以降、増加ペースは緩やかになったものの、増加傾向が継続している。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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