2024年 4月 27日 (土)

さあ、パラリンピックがはじまる! 五輪よりも多い22競技540種目で競う【8月も応援! 五輪・パラリンピック】

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   東京五輪・パラリンピックが2021年7月23日に開会式を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期され、いまなお世界各地で猛威を振るっている中での開催に、さまざまな議論が巻き起こっているが、アスリートの活躍には応援の声を届けたい。そう思っている人は少なくないだろう。

   そんなことで、8月もオリンピックとスポーツにまつわる本を紹介しよう。

   金メダルラッシュに湧いたオリンピックは8月8日に閉会式を迎える。そして、8月24日から12日間の日程で、パラリンピックが始まる。22競技があり、障がいの程度により、細かく539種目にクラス分けされるパラリンピック。あまりなじみのない競技も少なくない。

   本書「東京2020パラリンピック 公式ガイドブック」(KADOKAWA)が観戦の役に立ちそうだ。

   「東京2020パラリンピック 公式ガイドブック」KADOKAWA

  • パラリンピックは五輪より種目数が多い!(写真はイメージ)
    パラリンピックは五輪より種目数が多い!(写真はイメージ)
  • パラリンピックは五輪より種目数が多い!(写真はイメージ)

金メダル目指す日本選手たち

   今回の東京2020パラリンピックは、東京で開かれた1964年の第2回パラリンピック以来の日本での開催となる。2度目の「同一都市」での開催は史上初となる、メモリアルな大会である。バドミントンとテコンドーの2競技が新たに採用される。クラス分けが多いので、オリンピックの33競技339種目よりも多い22競技540種目で競われる。

   日本からどんな選手が参加するのか。活躍が期待される10選手を大きく紹介している。まず、車いすテニス・男子シングルス他の国枝慎吾選手。2016年リオ大会でシングルス3連覇を逃がしたが、その後世界ランキング1位に返り咲いた。

「このポジションで東京2020大会を迎えられるとは思ってもみませんでした。プレースタイルをガラッと変えて、新しい自分に出会えて、取り組んで。そして生まれ変わることができました」

   右ひじの手術後、大幅にフォームを改造した。当初の打球はネットにも届かなかったが、復活を遂げた。「東京じゃなかったらここまで熱くなっていなかった。自国開催は奇跡的な巡り合わせ。今までの金メダルとは違う感情になるかもしれません」と語る。

   女子マラソン(T12)で、リオ大会銀メダルだった道下美里選手は、悔しさをバネにトレーニングを重ねた。2020年には新型コロナウイルス感染症予防として、いつもの公園ではなく山道の周回コースを走り続けたことで脚力もあがり、1年間に2度も世界記録(2時間54分13秒)を更新した。

   社会人から盲学校に入り、パラ競技を開始。2008年に中距離からフルマラソンに転向した44歳。「希望を与えてくれたスポーツに今度は私から恩返しをしたい」と話している。

細かなクラス分け、独特のルール

   障がいの種類、程度、運動機能などに応じたクラス分けやルールについても詳しく解説している。たとえば陸上競技・トラックでは、視覚障がいは伴走者が必要なT11、伴走者は必要な場合のみのT12、単独のT13というようにクラス分けされている。数字が小さいほうが障がいの程度は重い。

   選手の「目」の代わりになる伴走者は、選手が思い切り走れるように腕の振りも合わせる。T11~13クラスの100メートル世界記録は11秒を切るというから、相当速い。伴走者は選手より先にゴールすると失格になる。

   走幅跳びでは、走る方向や踏み切り位置を音で知らせる「コーラー」がいる。その連携がポイントになる。

   パラリンピック独特の競技として、ゴールボールなどがある。1チーム3人がアイシェード(目隠し)をして交互にボールを投げ合い、ゴールを狙う。光を遮断するアイシェードの下は公平な条件でプレーするためにアイパッチでまぶたを覆う。

   視覚からの情報が遮断されているのに、まるで見えているかのような正確で息の合ったプレーが見られるという。攻撃側は足音を立てずに入れ替わったり、3人が一斉に投球時のステップを踏んだりして相手をかく乱。守備側はボールに内蔵された鈴の音や相手の足音を聞き分け、ボールが来る方向を判断する。トップ選手は50センチ単位で聞き分ける聴力を持つそうだ。ゴール前に3人が体を横にして壁となって失点を防ぐ。

   日本は女子が2012年ロンドン大会で史上初の金メダルに輝いた。2016年リオ大会は5位に終わり、今大会は金メダル奪還を狙う。初出場の男子は予選突破を目指す。

オリンピックを超える記録が男子走幅跳びで出るか?

   世界のトップアスリートも紹介している。男子走幅跳び(T64)のマルクス・レーム選手(ドイツ)がマークした世界記録8メートル62は、オリンピックのリオ大会金メダリストの成績8メートル38を超える。2003年にウエイクボードの練習で事故に遭い、右膝下から切断。2014年にはドイツ国内選手権で義足選手初の決勝に進出。8メートル24を跳んで優勝を飾り、衝撃を与えた。

   競技用義足の研究にも余念がなく、開発から携わった上で選手としても使いこなしてトップの座に君臨し続けている。3連覇を狙う今大会の約3カ月前に世界記録を更新。今大会は金メダルと世界記録更新とともに、オリンピックの成績を超える活躍が期待される。

   このほかに卓球女子で、オリンピック・パラリンピック同時出場をつづけるナタリア・パルティカ選手(ポーランド)、アーチェリー男子個人では足で弓を引くマット・スタッツマン選手(アメリカ)など、個性的な選手を取り上げている。

   グラフィカルな多くの写真を見て、初めてパラリンピック競技の意義と凄さを知ったような気がする。

   8月に入り、新型コロナウイルスの感染が東京を中心に急拡大している。オリンピックの終了とともに、世間の関心はコロナ対策に移りそうだ。SNS上には、早くもパラリンピックの開催を危惧する声もあるようだが、より感染対策を徹底した上で、パラリンピックが開催されるよう望みたい。

   「東京2020パラリンピック 公式ガイドブック」
KADOKAWA
1980円(税込)

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