2024年 4月 18日 (木)

減らない空き家 負担増す自治体 必要なのは所有者に管理させる手立て(鷲尾香一)

空家法に基づく措置は累計2万7322件

   さらに強い措置となる命令件数は、前年度比57.1%増の66件と大幅に増加した。命令件数がもっとも多い都道府県は千葉県の10件、次いで東京都の8件、大阪府の7件の順。

   助言・指導、勧告、命令を行っても適切な措置が実施されない場合に行われる代執行では、行政代執行が前年度比17.8%減の23件だった。もっとも行政代執行が多かったのは千葉県の4件で、次いで富山県と福井県の3件となっている。

   略式代執行は前年度比4.3%減の66件で、もっとも多かったのは新潟県の8件、次いで兵庫県と福岡県の5件となっている。

   空家法が施行されてから2020年度までに行われた措置の累計では、助言・指導が2万4888件、勧告が1868件、命令が215件、行政代執行が92件、略式代執行が259件となっており、全体で2万7322件の措置が実施された。

   また空家法の措置により、これまでに除却、修繕、繁茂した樹木の伐採、改修による利活用、その他管理などがなされた管理不全空き家(特定空家などを含む)は1万5161件、その他の市区町村による空家対策の取り組みにより除却などがなされた管理不全空き家は9万7274件にのぼり、合計11万2435件の管理不全空き家の除却等が行われている。

   都道府県別では、空家法の措置により除却等がなされた管理不全空き家の件数が多いのは、大阪府の1913件、北海道の1778件、千葉県の1111件、その他の市区町村による空家対策の取組により除却等がなされた管理不全空き家が多いのは、埼玉県の6603件、東京都の6434件、愛知県の6183件となっている。

   空き家の除去には、特に取り壊しを行うとなれば多額の費用がかかる。一方で、放置される空き家、相続などで所有者が不明となる空き家は今後も増加が予想されている。空き家の管理が所有者によって適切に行われるという、「本来の姿」に戻す手立てが示されることが強く望まれる。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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