2024年 4月 26日 (金)

35歳、突然1億円を手にしたら、あなたはどう運用しますか? 【その1】 世の中の投資指南書に書いてあること(小田切尚登)

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超強気のポートフォリオで「1発当ててやろう」!

   では、学生はどんな回答を寄せてきたか?

   ここで実際の例を挙げるわけにはいかないので、回答例をその特徴をやや極端に単純化して、以下に示したい。

   典型的な答案の一つは、「超強気ポートフォリオ」とでも呼ぶべきもの。相場が上昇していくのに賭けていくスタイル。たとえば、こういうものだ。

日本株30%、米国株20%、不動産30%、仮想通貨20%

   これが当たればすごい。株式市場は世界的にかなりの程度関連し合っており、米国株の価格が上がれば日本の株価も上がり、さらに途上国の株価も上がる、といった流れになることが多い。

   これは世界経済が互いに連関しているということでもあるし、投資には国境がないということでもある。

   不動産は株式とは別の市場であるが、これも大きく見れば株式とそれなりに相関関係がある。企業の業績が好調であると株価が上がるが、そういう時は不動産の価格も上がる傾向にある。

   また、株式相場のバブルが膨らむときは、不動産バブルも膨らむというのが一般的な流れだ。つまり、株式と不動産はうまくすれば両方同時に上がっていく可能性が結構あるということだ。ただし、不動産というのはどういう不動産をどのように買うかによってリスクがいろいろと変わるので、ここでは最適な購入方法を選択したということを前提に考える。

   一方で仮想通貨(暗号資産)というのは、まったく別物である。仮想通貨の相場がどのような要因で動くか、という件については別の機会に詳しく書いてみようと思うが、まず押さえておくべきは、変動リスクが非常に大きいということだ。

   短期間に何倍といった急激な上昇が起きる可能性もあるわけで、そこに妙味を感じる人がいるのも当然だろう。実際大きく儲ける人もいないわけではない。しかし儲けられる確率は非常に低く、損をする可能性の方がずっと高いだろう。一種のギャンブルのようなものである。

   このような株式・不動産・仮想通貨に偏ったポートフォリオは、「一発当ててやろう」と考える人向けである。よく言えば前向きで大胆な人、悪く言えば能天気な人のポートフォリオだ。投資を一種のギャンブルととらえる手法といっても良い。読みがうまく当たればよいが、株価や地価がそろって大きく下落したら大変なことになる。

   全体の資金の大半を変動の大きい資産に割り当てるというのはハイリスクの行動様式であるが、残念ながら世にあふれる投資の指南書というのは大体、そういう話を書いてある。

「この株を買えば儲かる!」
「ふつうのOLがX億円の不動産を保有している!」

といった類の話である。

   こういうのは一種類の金融商品に資金を集中して投下しろ、と推奨しているわけで、危なっかしくて仕方がない。実際、巷にはこういう投資を行なって大損した人が溢れている。(小田切尚登)

(つづく)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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