2024年 4月 19日 (金)

絶滅危惧種のアムールトラが教えてくれる人間の未来【12月は、2022年をのぞき見する一冊】

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メスのトラは女手ひとつで子どもたちを3歳まで育てる

   アムールトラの生物的なプロフィールを、こう紹介している。ネコ科最大の獰猛で優雅な生きものだ。大きさはオスならば、体長約2メートル、体重は約250キログラムで、鼻先から尻尾までの全長は約3メートル。メスはやや小ぶりだ。

   ロシア極東の沿海地方とハバロフスク地方に生息する。主にアムール川流域、おおむねその右岸にいる。タイガと呼ばれる亜寒帯の針葉樹林がすみかだ。新潟から飛行機で約1時間半という、日本にかなり近いところにアムールトラは生息しているのだ。

   シカやイノシシなどを捕食して生きている。1頭のテリトリーは、成獣のオスならば、800~1000平方キロ(兵庫県の10分の1)というから、かなり広い森林がないと生きていけない。

   メスのトラは、女手ひとつで子どもたちを約3歳まで育てる。ライオンと違い、群れをつくらないトラは、餌となる動物とつねに差しの勝負を挑む。ヒグマとの生存競争もある。8割はトラが勝つといわれるが、ヒグマはメストラの2倍の大きさだから、時に命を落とすこともある。そうなれば子トラは悲惨な運命をたどる。もっともトラの最大の敵は人間、密猟者だ。

   関さんは、アムールトラは「矛盾した存在」だと形容している。獰猛だが、ゆったりと落ち着き、優雅だと。吠え声は恐ろしいが、温厚でおっとりとした性格だそうだ。

   トラの保護に尽力している人たちは、もと猟師やトラを生け捕りしていた人が多いそうだ。アムールトラは捕らえられても、おびえや憎しみを表すことがなく、誇りを失うことがないという。その姿に感動して、捕らえる立場から保護する立場に転じたのでは、と関さんは推測している。

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