2024年 4月 20日 (土)

面談シートを活用して部下の自律的な働き方を促す「仕事の具体化」《前編》(前川孝雄)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   【第5回】リモートワーク下で求められる「支援型マネジメント」の第2のポイントは、部下の「仕事の具体化」です。第1のポイントの期初面談による「責任の明確化」を踏まえ、部下の今期(半年間を想定)の具体的な仕事の目標を定め、リモート下であっても自律的に仕事に取り組める態勢を整えます。

   私が開発した「任用面談シート」をもとに、上司が部下と面談を行いながら、部下の仕事の具体化を支援する手順とポイントを解説しましょう。

  • 部下が自律的に働くリモートワークとは……(写真はイメージ)
    部下が自律的に働くリモートワークとは……(写真はイメージ)
  • 部下が自律的に働くリモートワークとは……(写真はイメージ)

部下の「今期のミッション」を定める

   ミッションとは、任せる業務です。まず、上司は部下との任用面談(任せる仕事を具体化し動機づけする面談)に先立ち、「任用面談シート」に事前記入を行います。

   部下と行った期初面談の結果を振り返りながら、その際に用いた「メンバー育成計画シート」(「部下一人ひとりが主体的に働くようになるマネジメントの起点『責任の明確化』〈前編〉〈後編〉」2021年11月10日付、11日付に掲載)への事前記入内容で変更がないものはそのまま転記し、面談の結果修正を要する点は整理して記入します。「任用面談シート」記入例の黒字部分が該当します。

   参考リンク:「部下一人ひとりが主体的に働くようになるマネジメントの起点『責任の明確化』〈前編〉」(2021年11月10日付)

   「部下一人ひとりが主体的に働くようになるマネジメントの起点『責任の明確化』〈後編〉」(2021年11月11日付)

   シート中段の「今期のミッション」(記入例の赤字と青字の欄)が、任用面談のメイン部分です。上司は部下への依頼事項として、赤字部分を以下の要領で検討し、記入します。

   → 「優先順位順」の枠...... 今後6か月間に部下に取り組んでほしいミッション=より具体的な業務の項目を記入

   → 「シェア」の枠...... 本人の仕事全体の中での、各ミッションの重みづけ(部下が力を割く割合)。合計100%で記入。

   上司はここまで記入し、「意志目標」や「1か月、3か月、6か月」の記入欄(青字の部分)は空欄のまま残します。

   このシートへの記入のポイントは、部下との期初面談の結果を十分に踏まえながら、次の任用面談で部下を前向きに動機づけできる内容に仕上げることです。部下本人の将来へのキャリア希望と上司の期待を土台に、本人の強みを活かし弱みを補強する視点を加味しながら、「任せたい役割・仕事」の領域で本人に当面力を発揮してもらうに相応しい業務として「今期のミッション」を書き込みます。

本人の「役割・仕事」を再確認し動機づける

   こうした準備が整ったら、任用面談を実施します。面談では、シートを部下にも共有し、部下との対話を通して部下の「今期のミッション」を具体化します。

   以下、シートの記入例に触れながら、手順とポイントを説明します。

   面談では、まず上司がシートの記入内容を部下に説明します。期初面談での共有事項(黒字部分)は再確認部分ではありますが、先の面談での対話も振り返りながら、本人の胸に落ちるストーリーとしてしっかり伝えましょう。

   記入例の田中一郎主任の場合は、本人がコンサルティング営業の職場風土づくりへの貢献を通して自らのキャリアを磨きたいと希望を表明しています。

   これに対し、上司は田中主任の法人営業の実績に加え、高いコミュニケーション力を評価していること。その強みを活かし、他部署との連携強化も図れるリーダーに成長してほしいこと。そこで、今回の主任昇進を機に、まず「営業グループの新規開拓リーダー」として、理想の職場づくりに向け率先垂範で力を発揮してほしいこと。その際、本人の課題である仕事の正確さや緻密さの向上を意識して取り組んでほしく、上司もOJTで支援すること、などを語ります。

   部下が、任された自分の役割・仕事の意義と上司からの期待を再確認でき、活躍のイメージをつかめることが大切です。

   次回の《後編》では、引き続き任用面談を進めるうえでの、自律的な業務遂行を促すアドバイスの方法を解説していきます。

   ※マネジメント改革を実現する「上司力」の詳細をさらに詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。

プロフィール
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。(株)リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業㈱FeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年(株)働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業 審査員なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は「50歳からの逆転キャリア戦略」(PHP研究所)、「『働きがいあふれる』チームのつくり方」(ベストセラーズ)、「コロナ氷河期」(扶桑社)、「50歳からの幸せな独立戦略」(PHP研究所)、「本物の『上司力』」(大和出版)など30冊以上。近刊は「人を活かす経営の新常識」(FeelWorks、2021年9月)及び「50歳からの人生が変わる 痛快! 『学び』戦略」(PHP研究所、2021年11月)。

姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中