2024年 4月 24日 (水)

FRBは利上げ3か月前倒し 世界から取り残される? 日銀、円安とインフレ圧力で厳しい舵取り

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「円安は日本経済にプラス」はホントか?

   FRBの政策の影響を最も強く受けるのは途上国だ。経済の基盤がぜい弱で、コロナ禍の影響を強く受けている国が多い中、米金利が上がっていくと通貨の下落でインフレが進行しかねないのだ。シンクタンクの集計では、83か国の中央銀行の2021年中の政策変更を調べたところ、利上げが32か国、利下げは8か国だったという。それぞれ9か国、71か国だった2020年から逆転した。それだけ経済がコロナ禍による落ち込みから回復してきたのは確かだが、米国の政策に翻弄されている面が強い。

   代表的なのがブラジルで、21年4~6月、7~9月と2四半期連続マイナス成長にもかかわらず、利上げに踏み切り、20年に2%まで引き下げていた金利は10%目前にまで上昇している。

   逆に景気優先で利下げを繰り返しているトルコは通貨リラが暴落して輸入物価が急騰して激しいインフレになり、リラ預金の対ドルの価値の目減り分を政府が補填するという前代未聞の政策を打ち出すなど、混乱している。

   日本は12月17日に日銀が現在の大規模な金融緩和を維持することを決めた。CPI(生鮮食品を除く)は前年比プラス・マイナス0前後が続いてきたが、さすがに11月はエネルギー関係の値上がりによって0.5上昇。携帯料金値下げの特殊要因を除くと2%程度と、「2%」という政府・日銀の物価上昇目標に届いてきたが、4~6%台の欧米には及ばない。

   日本も輸入物価は上昇しているが、デフレ慣れした日本で価格転嫁がなかなか進まない「デフレマインド」の影響が大きいというのが日銀の見立てで、「物価目標に向け、必要な緩和を粘り強く続けることに尽きる」(黒田東彦総裁)と強調。「円安は日本経済にプラスだ」とも言い切っている。

   ただ、FRBの金融引き締めで円安が加速し、原油などの輸入価格がさらに上がって、日本もインフレ圧力が強まる可能性はある。日銀は、これまで封印してきた緩和縮小の議論に着手する日も遠くないのかもしれない。(ジャーナリスト 岸井雄作)

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