2024年 4月 26日 (金)

希望退職2年連続1万5000人超! コロナ禍で「赤字の肩たたき」と「未来への飛躍」...二極化進む

   「希望という名のあなたをたずねて 遠い国へとまた汽車に乗る...」という歌があったが、「希望退職募集」という名前のリストラが相次いでいる。

   東京商工リサーチが2020年1月20日に発表した「2021年上場企業『早期・希望退職』募集状況」によると、上場企業が2021年に募った希望退職数は2年連続で1万5000人を超えた。

   新型コロナウイルスの直撃を受けたためだが、オミクロン株の急拡大で今年もさらに高水準になりそうだという。

  • 希望退職をして新しい人生を目指そう(写真はイメージ)
    希望退職をして新しい人生を目指そう(写真はイメージ)
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日本たばこ3000人、ホンダ2000人...

   2021年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は84社だ。前年(2020年)の93社から9社減少したが、2年連続で80社を超えた。2年連続の80社超は、リーマン・ショック後の2009年(191社)・2010年(85社)以来11年ぶり。新型コロナ感染拡大の影響が長引く業種を中心に、募集企業の数は高水準で推移している=図表参照

(図表)早期・希望退職者募集の企業数と人数の推移(東京商工リサーチ作成)
(図表)早期・希望退職者募集の企業数と人数の推移(東京商工リサーチ作成)

   募集人数は、人数を公表した69社で1万5892人に達した。前年の1万8635人から減少したが、2年連続で1万5000人を超えた。2年連続の1万5000人超は、IT(情報技術)バブル崩壊後の2002年(3万9732人)・2003年(1万6833人)以来18年ぶりだ。

   業種別にみると、新型コロナの影響が長引くアパレル・繊維製品が三陽商会、ワールドなど11社で最多に。次いで、パナソニックなど電気機器が10社だ。

   このほか、やはり新型コロナの直撃を受けた観光関連では、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT‐CTホールディングスなど4社が、11年ぶりに募集を行った。また、移動制限の影響を受けた近鉄グループホールディングスなどの鉄道、ANAホールディングスなどの航空を含む交通インフラ(6社)も8年ぶりの募集となった。

   一方、昨年(2020年)にそれぞれ7社だった外食と小売は、2021年はともに4社に減少した。とくに、外食は緊急事態宣言が全面解除された10月以降、募集はなかった。これは、時短営業や休業の補償として自治体から出される協力金に一定の効果があったからとみられる。

   募集人数をみると、紙巻きたばこの需要減により一部工場を閉鎖する日本たばこ産業の2950人が最多だ。次いで、電気自動車(EV)や自動運転車へのシフトのため世代交代を進めるホンダ(約2000人)、観光需要減のKNT-CTホールディングス(1376人)と続く。

   募集人数が1000人以上の企業は5社だった。これは小泉純一郎政権が「聖域なき構造改革」を打ち出し、郵政民営化や公共事業削減などを進めたため、年末に完全失業率5.4%を記録した2001年の6社に次ぐものだ。統計開始(2000年)以降で2番目の高水準となった。

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