2024年 4月 30日 (火)

その検索結果に気をつけて...若者の夢「芸能界デビュー」につけ込む詐欺師増える 「アナタは才能ある」にだまされるな!

「15歳の時に渋谷で雑誌社編集部にスカウトされ、デビューしました」
「実家がお花屋さんで、中学生の時、ドラマ撮影隊が訪れた時にスカウトされました」

   芸能界入りのきっかけはさまざまで、なかにはこうしたスカウトの「逸話」に彩られているが、ちょっと待ってほしい。最近はこのように街頭などで直接スカウトされるよりも、スマートフォンで検索してオーディションを見つけたり、SNSで芸能事務所の募集広告を見たりして、自ら連絡を取るケース増えているようだ。

   憧れの芸能界入りにつけ込んで、若者の夢を「食い物」にする詐欺師の甘い罠を、国民生活センターのリポート「タレント・モデルなどの契約トラブル~あなたの夢やあこがれにつけこんでくる事業者に気をつけて!~」(2022年2月24日発表)で警告している。

  • 憧れのモデル、女優になれるとだまされて…(写真はイメージ)
    憧れのモデル、女優になれるとだまされて…(写真はイメージ)
  • 憧れのモデル、女優になれるとだまされて…(写真はイメージ)

あなたに「ダンスボーカルユニットのメンバーになってほしい」

   国民生活センターによると、芸能界デビューを巡る被害相談は、2021年度は1月末までに全国で511件。前年度同期の456件より1割以上の55件増だ。しかも被害に遭うのは、10歳代~20歳代の若い層での割合が増えているのが特徴だ=図表1参照

(図表1)芸能界デビューをめぐる被害は20歳代以下が増えている(国民生活センター作成)
(図表1)芸能界デビューをめぐる被害は20歳代以下が増えている(国民生活センター作成)

   また、被害に遭うのは女性が66%、男性が34%と女性のほうが多い。契約時の入会金やレッスン代などの被害金額は、10万円以上~50万円未満が48%と半数近いが、50万円以上も36%あり、なかには100万円以上という高額の被害者も3%いた=図表2参照

(図表2)被害を受けた金額の割合(国民生活センター作成)
(図表2)被害を受けた金額の割合(国民生活センター作成)

   詐欺師の代表的な手口はこういったケースだ。

【事例1】「テレビ番組に出られる」「仕事をたくさん紹介する」と言われたがレッスンも仕事もない
インターネット上で「テレビ番組の出演者募集」という広告があり、問い合わせた。面接で事務所に出向くと、合格を告げられた。所属契約について「うちに所属すれば確実にテレビ番組に出演できる。ダンスボーカルユニットを結成することが決まっており、レッスンもあるから、ぜひメンバーになってほしい。あなたは向いている」と勧められた。
所属契約には費用がかかり、「今なら10万円の入会金が5万円ですむ。そのほか毎月約3万円かかるが、仕事はたくさん紹介する。所属枠は残りわずかなので早く決めて!」と急かされ、その場で契約した。その後事務所から番組出演の話は一切なく、レッスンもない。(2021年11月・20歳代女性・給与生活者)

【事例2】声優のアルバイトのつもりが、レッスン料が必要と迫られ、断ると罵倒された
求人サイトで声優のアルバイトの広告を見て、応募した。所属契約をした後、プロデューサーを名乗る人から「当社でボイスドラマの制作をしている」と言われ、スタジオでボイスサンプルを収録した。その後、「審査は落ちたが、やる気があるなら新人枠で推薦する」と電話があり、お願いした。
後日「条件付きで新人枠に入れた」と電話があり、スタジオに出向くと出演の条件は「演技力を高めるため、約8万円でレッスンを受講してもらう」ことだった。親に相談すると反対されたため、レッスンの話は断ったが、プロデューサーからは「大学生にもなって親に頼るのか」「自分のお金で支払うように」と罵倒された。契約を解除したい。(2021年11月・10歳代男性・大学生)

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